第81回


Excelで作成した請求書や管理表を、取引先や社内の別部署からGoogleスプレッドシートで送ってほしいと言われた経験がある方は少なくないでしょう。
ExcelファイルはGoogleドライブにアップロードするだけで、そのままGoogleスプレッドシート形式に変換でき、かつURLで共有が可能になります。特別なツールや有償ソフトは不要です。
本記事では、ExcelをGoogleスプレッドシートに変換する具体的な手順と、変換前に確認しておきたい注意点を整理します。あわせて、情報システム部門が全社導入を検討する際に押さえておきたい判断基準も紹介します。

ExcelファイルをGoogleスプレッドシートに「変換」する作業は、大きく分けて2種類あります。
ひとつはExcelファイル自体をGoogleスプレッドシート形式に書き換える方法です。
もうひとつは、Excelファイルの中身だけをGoogleスプレッドシートの新規シートに読み込む方法です。
前者はファイルの拡張子ごとGoogleスプレッドシート形式に置き換わり、元のExcelファイルとは別の独立したファイルとして扱われます。
後者はデータの取り込みが中心で、レイアウトの再現度よりも数値やテキストを正確に取り込むことを重視する場面に向いています。
どちらの方法を選ぶかによって、後々の運用のしやすさが変わってきます。まずは基本となる変換の手順から見ていきましょう。

操作自体はシンプルですが、途中でつまずきやすいポイントがいくつかあります。順を追って確認します。
Googleドライブにアクセスし、Excelファイルをドラッグ&ドロップでアップロードします。
アップロードしたファイルをダブルクリックすると、Googleスプレッドシート上でプレビューと編集ができる画面がそのまま開きます。
ここで注意したいのは、この時点ではまだExcel形式のまま保存されているという点です。編集した内容は自動的に元のExcelファイルへ反映される仕組みになっています。
独立したGoogleスプレッドシートのファイルとして変換したい場合は、次の手順がもうひとつ必要になります。
画面上部のメニューから「ファイル」→「Googleスプレッドシートとして保存」を選択すると、Excelファイルとは別に独立したGoogleスプレッドシート形式のファイルが新規作成されます。
この手順はGoogle公式のドキュメントエディタヘルプでも案内されています。詳細な操作画面を確認したい場合は、以下の公式情報もあわせてご覧ください。
Google公式ヘルプ「Excel と Google スプレッドシートの両方を使用する:ベスト プラクティス」
変換後はGoogleドライブ上に元のExcelファイルとGoogleスプレッドシート版の両方が残ります。
どちらか一方を削除するか、Excelファイル側のファイル名の先頭に「アーカイブ済み」などと付けて区別しておくと、後から見返したときの混乱を防げます。
Googleドライブの設定画面を開き、「アップロードしたファイルを変換する」の項目にある「アップロードしたファイルをGoogleドキュメントエディタ形式に変換します」のチェックボックスを有効にしておくと、以後アップロードするOfficeファイルはすべて自動的にGoogle形式へ変換されます。
ただし、この設定はすでにアップロード済みのファイルには適用されません。社内で「今後はGoogleスプレッドシートに統一する」という方針が決まっている場合は、方針決定と同時にこの設定を有効化しておくと、部署ごとの運用ルールがぶれにくくなります。

ファイルごと変換するのではなく、データだけを取り込みたい場面には別の方法が向いています。
Googleスプレッドシートの「インポート」機能を使うと、Excelのデータだけを既存のシートに取り込めます。
スプレッドシート画面で「ファイル」→「インポート」を選び、対象のExcelファイルを指定すると、「新しいスプレッドシートを作成する」「新しいシートを挿入する」「スプレッドシートを置換する」の3つから取り込み方を選択できます。
「新しいシートを挿入する」を選ぶと、Excelファイル内のすべてのシートが新しいタブとして既存のスプレッドシートに追加されます。特定の1シートだけを選んで取り込む機能ではない点は覚えておくとよいでしょう。
この方法は、社内フォーマットがすでに決まっているGoogleスプレッドシートに、Excelで作成されたデータだけを流し込みたい場面に向いています。レイアウトごと再現する必要がない集計作業などで重宝します。
なお「現在のシートを置換する」「現在のシートに追加する」「選択したセルを先頭にデータを置換する」といった、シート単位・セル単位での細かい差し込みはExcelファイルのインポートでは選択できません。Excelファイルは複数のシートを含んでいる場合があるための仕様です。

すべてのファイルをGoogleスプレッドシートに寄せればよいわけではありません。判断の軸を持っておくと迷いが減ります。
| 判断軸 | Googleスプレッドシートへの変換が向くケース | Excelでの運用継続が向くケース |
|---|---|---|
| セル数 | 1ファイル(全シート合計)で1,000万個以下 | 1,000万個を超える大規模データ |
| 編集体制 | 複数人が同時に共同編集する必要がある | 個人または少人数で完結する |
| 使用機能 | 標準的な関数やグラフが中心 | 専用アドオンや3Dピラミッドグラフなど特殊な機能を使用 |
セル数と共同編集の有無という2つの軸で考えると、変換すべきかどうかの判断がしやすくなります。
1つのファイル(全シートの合計)でセル数が1,000万個を超える場合は、無理にGoogleスプレッドシートへ変換せず、Excelでの運用を継続したほうが安全です。

変換自体は数クリックで完了しますが、見た目や計算結果に影響が出るケースもあります。あらかじめ知っておきましょう。
ExcelとGoogleスプレッドシートでは、対応しているフォントの種類や行の高さの計算方法に違いがあります。そのため、変換直後にセル幅や改行位置がずれるケースがあります。
結合セルを多用した帳票や、印刷レイアウトを厳密に組んだファイルほど影響を受けやすい傾向にあります。
対処法としては、変換後に一度印刷プレビューで全体を確認し、崩れている箇所だけを手動で微調整する運用が現実的です。
Excel特有の関数や、Googleスプレッドシートに存在しない関数を使った数式は、変換後にエラー表示になったり計算結果が変わったりすることがあります。
特に配列数式や、マクロと組み合わせた複雑な数式ほど注意が必要かもしれません。関数名が同じでも、引数の仕様が微妙に異なるケースもあります。
変換後は主要な数式だけでも計算結果を目視で確認しておくと、後からのトラブルを防げます。
ExcelのVBAマクロは、Googleスプレッドシートにそのまま移行することはできません。同様の自動処理を実現したい場合は、Google Apps Script(GAS)で組み直す必要があります。
社内で複雑なマクロを組んだ管理表を運用している場合は、変換前にマクロの利用状況を棚卸ししておくと、移行後の手戻りを減らせます。

現場からの問い合わせで特に多いトラブルを、あらかじめ知っておくと初動が早くなります。
いずれも変換前の準備や社内周知でかなりの部分を防げるトラブルです。

操作手順そのものより、運用ルールの設計が定着のスピードを左右します。
情報システム部門が「Excel運用からの脱却」を検討する場面では、ファイルの変換方法そのものよりも、Google Workspaceの共有ドライブ設計や権限設計とセットで進めるかどうかが重要になってきます。
個々の担当者がそれぞれ独自に「ファイル→Googleスプレッドシートとして保存」を実行しても、保存先のフォルダや共有範囲が統一されていなければ、結局は「どのファイルが最新版か分からない」という従来のExcel運用と同じ課題を繰り返すことになりかねません。
変換後は元のExcelファイルへの変更が自動的に反映されなくなるため、どちらのファイルを正として運用するかを事前に決めておく必要があります。
Google Cloudのプレミアパートナーであるサテライトオフィスのような支援会社では、共有ドライブの権限設計やフォルダ構成のテンプレート化まで含めてGoogle Workspaceの導入を支援しているケースもあります。
ツールの操作方法そのものより、運用ルールの設計に時間をかけたほうが、結果的に全社への定着は早まるかもしれません。詳しくは以下のページをご覧ください。
サテライトオフィスのGoogle Workspace導入支援の詳細はこちら

最後に、これまでの内容を踏まえて次に取るべきアクションを整理します。
ExcelファイルをGoogleスプレッドシートに変換する操作自体は、ドライブへのアップロードとファイルメニューからの保存だけで完了します。難しい設定は必要ありません。
一方で、セル数や共同編集の有無といった判断基準を踏まえずに全社へ一斉展開してしまうと、現場での混乱やファイルの重複管理につながる恐れがあります。
スムーズな全社移行を実現するには、変換手順そのものより、権限設計やフォルダ構成までを含めた計画が欠かせません。
サテライトオフィスは、GoogleWorkspaceプレミアムパートナーとして、Google Workspace全体の導入支援から運用サポートまでをワンストップで提供しています。
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