第89回


「Googleドライブは毎日使っているが、マイドライブと共有ドライブの違いが曖昧なまま運用している」――そういった声は、企業のIT担当者から頻繁に聞かれます。特に組織規模が大きくなるほど、どのファイルをどこに置くべきかのルールが整備されないまま属人化が進み、退職者対応のたびにデータの所在が問題となるケースは珍しくありません。
本記事では、Googleマイドライブの仕組みと役割を起点に、共有ドライブ・共有アイテムとの違いを明確に整理します。さらに容量管理のポイントや、企業のIT担当者が把握しておくべき運用上の注意点まで体系的に解説します。

Googleマイドライブ(My Drive)とは、Googleアカウントを持つユーザーが個人的に使用できるクラウドストレージ領域です。Googleドライブにアクセスした際、左側のナビゲーションに「マイドライブ」という項目が表示されますが、これがGoogleドライブ全体の中の「個人領域」にあたります。
マイドライブに保存したファイルは、そのGoogleアカウントがオーナー(所有者)となります。アカウントを削除するとマイドライブ内のファイルも原則として削除の対象となる点は、個人利用と法人利用で大きく意味が異なります。誰でも知っているようで、実務上ここが見落とされがちです。
Googleドライブは、写真・動画・PDFなどあらゆるファイル形式に対応したオンラインストレージとして機能します。Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドなどGoogleの生産性ツールで作成したファイルはマイドライブに自動的に保存されるため、多くのユーザーにとって日常的に利用する場所といえます。
クラウド型ストレージとしての最大の強みは、インターネット環境さえあれば場所を問わずアクセスできる点です。オフィスのPCで作成した資料をそのまま外出先のスマートフォンで確認できるため、リモートワークや外勤が多い組織でも一元的なファイル管理が実現します。
マイドライブへのアクセス方法は、使用するデバイスによって異なります。主なアクセス手段を整理します。
いずれの方法でも、同一のGoogleアカウントでログインしていればファイルはリアルタイムで同期されます。デバイスをまたいだシームレスな作業環境が、Googleドライブの大きな特長のひとつです。

ここでは、区別がつきにくい「マイドライブ」「共有ドライブ」「共有アイテム」の違いを所有権やアクセス権限の観点から整理して解説します。
Googleドライブには「マイドライブ」と「共有ドライブ」という2種類のストレージ領域が存在します。どちらもファイルを保存・共有できますが、その性質は大きく異なります。最大の違いはファイルのオーナーシップ(所有権)がどこに帰属するかという点です。
マイドライブのファイルは個人のGoogleアカウントに紐づいています。一方、共有ドライブのファイルはドライブ自体(=チームや組織)に帰属します。そのため、メンバーが退職してアカウントが削除されても、共有ドライブ内のファイルは残り続けます。
| 比較項目 | マイドライブ | 共有ドライブ |
|---|---|---|
| ファイルのオーナー | 個人のGoogleアカウント | ドライブ(組織) |
| アカウント削除時の扱い | ファイルが孤立・削除の対象になる | ファイルはそのまま残る |
| メンバーの管理方法 | 個別ファイルごとに共有設定が必要 | ドライブ単位でメンバー一括管理が可能 |
| 主な利用場面 | 個人の作業領域・個人管理ファイル | チーム・部門単位の共同作業 |
| 容量の算入先 | 個人アカウントのストレージ枠 | 組織のストレージプール(Workspace全体) |
| 利用できるプラン | 無料版を含む全プラン | Google Workspace有料プランのみ |
この比較からわかるとおり、チームで継続的に使うファイルは共有ドライブに置くことが推奨されます。マイドライブにチームのファイルを保存し続けると、担当者の異動・退職のたびにデータ引き継ぎ作業が発生し、IT担当者の管理工数が積み上がります。
「共有アイテム」は、他のユーザーが所有しているファイルやフォルダのうち、自分に閲覧・編集の権限が付与されているものが一覧表示される仮想的なビューです。実際のファイルは別のユーザーのマイドライブや共有ドライブに存在しており、共有アイテム内では「そのファイルへのアクセス窓口」が見えている状態といえます。
よく起きる誤解として、「共有アイテムから削除操作をしたらファイルが消えてしまった」という認識があります。しかし実際に消えるのは「自分のアクセスリスト上の表示」だけで、元ファイルは削除されません。この仕組みを正確に理解しておくことが、チーム内でのファイル管理トラブルを防ぐうえで重要です。
「どこに何を置くか」という運用方針の基準を明確にすることが、組織全体の情報管理品質を左右します。実務上有効な使い分けの考え方を示します。
「マイドライブは個人の引き出し、共有ドライブはチームの本棚」と捉えると、全社員に運用ルールを伝えやすくなります。
【注意】共有ドライブはGoogle Workspaceの有料プランでのみ利用可能です。個人向けの無料Googleアカウントや一部の下位プランでは共有ドライブ機能が使用できません。また、Business Starter以上でも共有ドライブの機能に一部制限があるプランが存在するため、導入前に最新のプラン仕様を確認することをお勧めします。

マイドライブへのファイルアップロードは、Webブラウザ上のドライブ画面にファイルをドラッグ&ドロップするだけで完了します。フォルダを作成して階層構造で整理することも可能で、「部門>プロジェクト>年度」のような分類体系を構築できます。
対応ファイル形式はPDF・Microsoft Word・Excel・PowerPoint・画像・動画など多岐にわたります。Microsoft Officeファイルは、Googleドキュメント形式に変換して保存することも、元のOffice形式のまま保存することも選択できます。変換後はブラウザ上でリアルタイム編集が可能になるため、複数人での同時編集を行う場合はGoogleドキュメント形式への変換が有効です。
パソコン版ドライブを使うと、ローカルフォルダのように操作できるため、ファイルをGoogleドライブ用フォルダに移動するだけで自動的にクラウドへアップロードされます。PCのローカルファイルをバックアップ目的で保存したい場合にも適した方法といえます。
マイドライブ内のファイルは、特定のユーザーやGoogleグループに対して共有できます。共有時に設定できる権限の種類は以下のとおりです。
| 権限の種類 | できること | 主な用途 |
|---|---|---|
| 閲覧者 | ファイルの閲覧のみ(ダウンロード・印刷は設定により制限可能) | 参考資料の配布・閲覧専用の共有 |
| 閲覧者(コメント可) | 閲覧に加えてコメント・提案の追加が可能 | 承認前のドキュメントのレビュー |
| 編集者 | ファイルの編集、コメント追加。設定によっては共有権限の変更も可能 | 共同編集が必要なファイル |
社内ドキュメントに対しては「特定のユーザー」に限定した共有を徹底することが、情報漏えいリスクの低減につながります。「リンクを知っている全員」へ公開する設定は、外部への情報提供が意図せず行われるリスクがあるため、使用場面を明確にルール化することが重要です。
Googleドライブには、インターネット接続がない環境でもファイルを閲覧・編集できるオフラインモードが用意されています。ChromeブラウザのGoogleドライブ拡張機能を有効にし、対象ファイルのオフライン設定をオンにすると、事前にファイルがキャッシュされます。編集内容は次回オンライン時に自動同期されます。
また、ファイルには自動的にバージョン履歴が保存されます。誤って上書きした場合でも、過去の版を確認・復元できるため、重要ドキュメントの変更管理に役立ちます。Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドでは詳細な変更履歴も確認可能です。アップロードしたPDFやOfficeファイルも、手動で旧バージョンを管理できます。
マイドライブ内のファイルは、画面上部の検索バーからファイル名・内容・種類・更新日などの条件で絞り込み検索が行えます。Googleの検索技術が活かされているため、ファイル名だけでなくドキュメント内のテキストも検索対象となります。たとえば「議事録 ○○プロジェクト 2026年3月」のように複数の語で絞り込めるため、大量のファイルを扱う組織でも目当てのファイルを素早く見つけられます。
頻繁にアクセスするファイルには「スター」を付けることができます。スター付きのファイルは左メニューの「スター付き」から一覧表示できるため、重要ファイルへのアクセス効率が向上します。プロジェクトの基本資料や承認待ちのドキュメントなど、日常的に参照するファイルをスター管理する運用は、個人の業務効率化に直結します。

個人のGoogleアカウントには、無料で15GBのストレージが付与されます。この容量はGoogleドライブ(マイドライブ)・Gmail・Googleフォトの3サービスが共有して使います。大量のメール添付ファイルや写真・動画を保存し続けると容量が逼迫するため、定期的な容量確認と不要ファイルの削除が求められます。
ここで一点、見落とされやすい仕様があります。2021年6月1日以降に作成・編集されたGoogleドキュメント・スプレッドシート・スライドのファイルはストレージ容量にカウントされます。アップロードしたOfficeファイル・PDF・画像・動画と同様にカウント対象となるため、容量節約には定期的なファイル整理が重要です。
15GBを超えた場合は、Google Oneという有料プランにアップグレードすることで追加ストレージを購入できます。ただし、法人用途では個人アカウントでの運用自体がセキュリティリスクを伴うため、Google Workspaceへの移行を検討することを推奨します。
企業がGoogle Workspaceを契約すると、プランに応じたストレージ容量が組織全体で使用できます。法人向けプランの主要なストレージ概要は以下のとおりです。
| プラン名 | ストレージ容量 | 共有ドライブ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Business Starter | 30GB/ユーザー | 利用可(一部制限あり) | 小規模チーム向けのエントリープラン |
| Business Standard | 2TB/ユーザー | フル利用可 | 中規模チームの共同作業に最適 |
| Business Plus | 5TB/ユーザー | フル利用可 | eDiscovery・監査機能も追加 |
| Enterprise | 5TB/ユーザー(追加購入可) | フル利用可 | 大企業・高度なセキュリティ要件向け |
※2026年7月時点
Google Workspaceのストレージはすべてのプランで組織全体でプールされるため、特定のユーザーが大量のファイルを保存しても、他ユーザーの利用可能容量が個別に圧迫されることはありません。ただし組織全体の総量は有限なため、管理者コンソールでストレージ使用量を定期的にモニタリングすることが重要です。
関連記事:Google Workspaceの料金を徹底解説|無料版との違いからプラン別費用まで

マイドライブ運用における最大のリスクのひとつが、退職者のアカウント削除に伴うデータ消失や業務継続への影響です。マイドライブに保存されたファイルは個人アカウントに紐づいているため、Googleアカウントを削除すると関連ファイルが「オーナーなし(孤立)」の状態になります。Google Workspaceの管理コンソールでは、アカウント削除前に当該ユーザーのファイルを別のアカウントに転送する機能が用意されています。しかし退職処理のタイミングでこの手順を漏れなく実行し続けることは、人手が介在する以上ヒューマンエラーのリスクが残ります。
さらに深刻なのは、マイドライブに保存されていたことすら把握されていないファイルの存在です。「あの担当者が持っていた資料がどこにあるかわからない」という事態は、業務上の重大なロスになります。異動・退職が多い組織ほど、この問題は累積的に拡大します。
根本的な対策としては、業務上必要なファイルをはじめから共有ドライブに保存するよう全社的な運用ルールを整備することが有効です。共有ドライブであればアカウントが削除されてもファイルは残るため、退職者対応の工数を大幅に削減できます。また、部門ごとのファイル管理責任者を定め、定期的な棚卸しをルール化するとさらに効果的です。
現状の運用を見直し、共有ドライブへの移行を検討すべきタイミングを示します。次のような状況が当てはまる場合は、移行の優先度が高いといえます。
マイドライブから共有ドライブへのファイル移動は、管理コンソールまたは適切な権限を持つユーザーが行えます。移動後はファイルのオーナーが「ドライブ(組織)」に変わるため、既存の共有設定に影響が出る場合があります。一括移行を行う前に、影響範囲を確認したうえで計画的に進めることを推奨します。
マイドライブを組織内で適切に運用するには、ファイル整理のルールを明文化して全社員に周知することが前提となります。実務上効果が高いポイントを挙げます。
ルールを作っただけで終わらせず、新入社員のオンボーディング研修や管理者向けの定例確認に組み込むことで、組織全体での定着につながります。

Googleマイドライブを組織全体で適切に活用するには、マイドライブと共有ドライブの使い分けルールの整備、権限設定の標準化、退職者対応フローの構築、そしてGoogle Workspaceの最適なプラン選定まで、幅広い観点からの検討が必要です。これらを個別対応でこなそうとすると、IT担当者の工数は想定外に膨らみます。
サテライトオフィスは、Google Workspaceプレミアパートナーとして、Google Workspaceのライセンス販売から導入支援・運用サポートまでをワンストップで提供しています。5,000社以上のGoogle Workspace導入支援実績から蓄積したナレッジをもとに、組織の規模や業種・運用状況に応じた最適な設計をご提案します。
また、サテライトオフィスが独自開発した機能拡張アドオンツール群(ワークフロー・シングルサインオン・タイムカード等)をGoogle Workspaceと組み合わせることで、ファイル管理にとどまらない業務プロセス全体の効率化も視野に入ります。導入後の運用サポートも電話・メールで対応しているため、現場でトラブルが発生した際もスピーディーに解決できる体制を整えています。
「マイドライブと共有ドライブの使い分けを整理したい」「Google Workspaceの最適なプランを選びたい」「退職者対応のフローを体系化したい」「現在の代理店からの乗り換えを検討している」といったお悩みをお持ちでしたら、まずはサテライトオフィスにお気軽にご相談ください。
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