第116回


Google Workspaceで日々やり取りされるメールやファイルについて、適切に保持できているかを不安に感じることはありませんか。
「退職者のメールやファイルを適切に管理したい」「過去のデータを、必要になったときにすぐ検索できるようにしたい」「コンプライアンス対応としてデータを一定期間保持したい」といった課題を抱えるご担当者様は少なくありません。
こうした情報管理の課題に役立つのが、Google Vault(グーグル ボルト)です。
本記事では、Google Vaultの基本的な機能から料金・利用条件・使い方・導入時に押さえておきたい注意点までを解説します。

Google Vault(グーグル ボルト)は、GoogleWorkspaceに含まれる情報ガバナンスと電子情報開示(eDiscovery)のためのツールです。
「Vault」とは英語で金庫や保管室を意味する言葉で、その名のとおり社内のデータを安全に保管・管理する役割を担います。
ここでいう情報ガバナンスとは会社のデータの適切な保存・管理です。また、電子情報開示(eDiscovery)とは訴訟や監査、内部調査などで必要になったデータを検索・収集することを指します。

Google Vaultの機能は、保持・記録保持・検索・書き出しの4つに整理できます。
企業は社内データの管理ルールを組織として整備し、コンプライアンス対応や内部調査に必要なデータを適切に扱えるようになるのです。
ここでは、対象となるデータの種類と、4つの機能について順に見ていきましょう。
Google Vaultが対応しているのは、Gmail・Google ドライブ・Google Chat・Google Meet・Google カレンダーなど、Google Workspaceの主要なサービスに蓄積されるデータです。
日常的な業務で使われるメールやファイル、チャットのやり取りなどが幅広く対象に含まれます。
ただし、サービスによって保持・記録保持・検索・書き出しの対応状況は異なります。自社で管理したいデータが想定どおりに扱えるかどうかを導入前に確認しておきましょう。
※対応状況の詳細は変更される場合もあるため、最新の情報はGoogle公式のヘルプページをご確認ください。
Google Vaultでは、保持するデータの種類と期間についてルールを設定できます。
対象とするサービスやユーザーを指定できるため、「特定の部門のメールだけを一定期間保持する」「組織全体のファイルを対象にする」といった柔軟な運用が可能です。
たとえば、退職者のメールやファイルを一定期間保持したい場合や、過去の業務データを社内ルールに沿って管理したい場合に活用できます。
個々の社員の判断に任せるのではなく、組織として一貫した保持ルールを適用できる点が特徴です。
記録保持(リティゲーション ホールド)は、訴訟や調査などに関連するデータを削除されないように保持しておく機能です。
通常の保持ルールでは、一定期間が過ぎたデータは削除します。これに対して記録保持は、指定したユーザーのデータを期間に関係なく保持し続けます。
訴訟や内部調査が見込まれる場面で、証拠となりうるデータを確実に残しておきたい場合に用いられ、法務・コンプライアンス対応で重要な役割を果たすのです。
Google Vaultでは、ユーザー・期間・キーワードといった条件を指定して、保持しているデータを検索できます。
膨大なデータの中から、必要な情報を絞り込んで確認できるため、調査や監査の際の負担を大幅に軽減できるでしょう。
さらに、検索した結果はエクスポート(書き出し)が可能です。書き出したデータは、内部調査の資料や電子情報開示(eDiscovery)の対応など、社内外の手続きに活用できます。
Google Vaultは、単体では購入できないサービスです。VaultはGoogle Workspaceのデータを守るためのオプション機能のようなもので、本体となるWorkspaceがなければ働きようがありません。
そのためWorkspaceとセットでの提供となり、利用できるかどうかや料金は、契約しているプランの種類によって変わります。
料金は一律ではないため、まずは自社のプランでVaultが使えるかを確認しましょう。
Google Vaultは、Google Workspaceの一部のエディションに標準で含まれています。
主なビジネス向けプランについて、Vaultの対応状況と料金の目安を整理しました。
Google Workspace主要プランとGoogle Vaultの対応状況
| プラン | 1ユーザーあたり月額(年間プラン) | Google Vault | 想定ユーザー数 |
|---|---|---|---|
| Business Starter | 800円 | 含まれない | 最大300ユーザー |
| Business Standard | 1,600円 | 含まれない | 最大300ユーザー |
| Business Plus | 2,500円 | 含まれる | 最大300ユーザー |
| Enterprise Standard | 要問い合わせ | 含まれる | 上限・下限なし |
| Enterprise Plus | 要問い合わせ | 含まれる | 上限・下限なし |
※上記は、2026年8月時点の月額です。最新情報は公式ページをご確認ください。
料金の観点では、Business Plus(月額2,500円)がVaultを使える最も手頃なプランです。
Business Starter(月額800円)やBusiness Standard(月額1,600円)を利用中の場合は、Business Plusとの差額がVault導入にともなう追加コストの目安になります。
Enterpriseは公開価格がなく、営業担当への問い合わせによる見積もりです。
なお、同一ドメイン内で一部のユーザーだけプランを分けることは基本的にできません。
社員の数名だけがVaultを使いたいという場合も、全体のプラン変更が必要になるため、対象範囲を整理したうえで検討しましょう。
2025年11月1日以降、Google Vaultを操作する管理者にはGoogle Vaultのライセンス保有が義務付けられました。
Vaultを使うためには、ユーザー本人と、Vaultを操作する管理者の両方が、Vaultが使えるプランを契約している必要があります。
Vaultが使えるかどうかは、契約しているGoogle Workspaceの「エディション(プランの種類)」で決まります。
1.最初からVaultが含まれているエディション
以下のプランなら、追加購入なしでVaultが使えます。
このプランを契約していると、組織内の全ユーザーと管理者に自動でライセンスが割り当てられるので、個別の手続きは要りません。
2.Vaultが含まれていないエディション(アドオンで追加購入)
上記に当てはまらない場合は、Vaultライセンスを必要な人数分だけ別途購入します。
この場合、ライセンスを割り当てた人だけが対象になり、ライセンスを渡していない人のデータはVaultで扱えません。
※料金・ライセンス要件は変更される場合があるため、最新の情報は必ずGoogle公式サイトでご確認ください。

ここでは、Google Vaultを導入したあとの基本的な運用の流れを紹介します。
契約しているGoogle WorkspaceのエディションにVaultが含まれているか、あるいはアドオンライセンスが必要かをチェックしましょう。
あわせて、Vaultを利用するユーザーと、Vaultを操作する管理者それぞれにライセンスが割り当てられているかを確認します。
前述のとおり、2025年11月以降は管理者にもVaultライセンスが必要になりました。
そのうえで、誰にどこまでの操作を許可するか、担当者の権限を設定します。
次に、データ保持のルールを設定します。
保持の対象とするサービス(Gmail・Googleドライブなど)やユーザーを指定し、保持期間や条件を定めます。
ここで重要なのは、自社の法務・コンプライアンス要件に合わせて設定することです。
なお、保持ルールは設定した時点から有効になるため、Vaultを利用できる状態になったら、できるだけ早めにルールを設定しておくことをおすすめします。
保持ルールを運用しはじめたら、必要に応じてデータの検索や書き出しを行います。
内部調査や監査、電子情報開示(eDiscovery)などでデータが必要になった際は、ユーザー・期間・キーワードといった条件を指定して対象のデータを検索しましょう。
検索結果を確認し、必要なデータを書き出すと、調査資料や証拠として活用できます。
日常的に使う機能ではありませんが、いざというときにすぐ対応できるよう、あらかじめ操作の流れを把握しておきましょう。

ここでは、Google Vaultを企業が利用するメリットを整理します。
Google Vaultを導入するとデータの保持ルールを組織全体で統一できます。
Vaultを使わない場合、データの選択や保存期間は社員それぞれの判断任せになりがちです。
必要なデータが消えたり、不要なデータが残り続けたりと、ばらつきが生じることもあるでしょう。
Vaultであれば、対象サービス・ユーザー・保持期間を組織として定められるため、こうしたばらつきを抑えられます。データの取り扱いに一貫したルールを適用できることは、情報ガバナンスの強化にも有効です。
Google Vaultは、法務やコンプライアンスの場面で活躍するツールで、必要なデータの保持・検索・書き出しが可能です。
訴訟や監査、内部調査などが発生した際に、関連するデータを削除されないよう保持し、必要な情報を検索・書き出しできる体制を整えます。
とくに記録保持(リティゲーション ホールド)を活用すれば、対象となるデータを期間に関係なく保全。有事の際に「必要なデータが残っていない」という事態を避けられることは、企業にとって大きな安心材料です。
過去のメールやファイルを、ユーザー・期間・キーワードなどの条件で検索できる点も、Google Vaultのメリットです。
膨大なデータの中から目的の情報を探し出す作業は、条件を指定できるかどうかで負担が大きく変わります。
Vaultを使えば必要な情報を絞り込んで効率的に確認できるため、情報を探すために多くの時間を割いていた業務をよりスムーズに進められるでしょう。

Google Vaultは便利なツールですが、導入前に押さえておきたいポイントもあります。Vaultを契約すれば、すべてのデータが自動的に保存されるわけではありません。使い始めて困らないためにも、次の3点は事前に確認しておきましょう。
Vaultはあくまで、情報ガバナンスや電子情報開示(eDiscovery)のために、定めたルールに沿ってデータを保持・検索・書き出しするためのツールです。
システム障害からの復旧や、誤って削除したファイルの復元といった用途は、本来バックアップサービスが担う領域であり、Vaultの役割とは異なります。バックアップが必要な場合は、Vaultとは別に専用のサービスを検討しましょう。
Google Vaultは、導入しただけですべてのデータが自動的に保持されるわけではありません。
サービスやユーザーの指定や、データをどのくらいの期間保持するのかといった保持ルールを自社で設定してはじめて機能します。
保持ルールの設定が不十分だと、本来残しておくべきデータが保持されていなかったり、想定と異なる範囲が対象になっていたりといった事態が起こりかねません。
保持ルールは設定した時点から有効になるため、Vaultを利用できる状態になったら、自社の要件に沿ったルールを早めに整えましょう。
導入前には、ライセンスの有無とその保持期間の確認も欠かせません。
まず、契約しているGoogle Workspaceのエディションとライセンス要件を確認しましょう。とくに2025年11月以降は、Vaultを操作する管理者にもライセンスが必要となりました。
また、保持期間をどのくらいに設定するかは、自社の情報管理方針や法務要件によって異なります。
法令で定められた保存期間・社内規程で求められる期間などを踏まえ、担当部門と相談しながら適切な期間を設定してください。
ライセンスと保持期間は、Vaultを適切に運用するうえでの土台となる部分のため、導入前にしっかり整理しておきましょう。

Google Vaultの機能を最大限に活用するには、自社の環境や運用に合わせた設計が欠かせません。
しかし、「どのエディションが自社に合うのか」「保持ルールをどう設計すべきか」「導入後の運用は誰が担うのか」といった判断を、すべて自社だけで進めるのは負担が大きいものです。
サテライトオフィスでは、Google Workspaceに精通したスタッフが、貴社の課題に合わせた情報管理・運用方法の検討から導入、導入後のサポートまでを一貫して支援します。
Google Vaultのようなアドオンも含めて環境を整えられるため、必要な機能を、過不足なく導入したい企業様に適しています。
一般的なGoogle Vaultの導入と、サテライトオフィス経由での導入の違いを整理すると、以下のとおりです。
《サテライトオフィス経由の導入メリット》
| 一般的なGoogle Vault導入 | サテライトオフィス経由 |
|---|---|
| Google Vaultの機能を利用する | Google Workspace全体を踏まえて導入を支援 |
| 自社で設定・運用する | 導入時の設定や初期セットアップを相談できる |
| 必要に応じて別途サービスを探す | Google Workspaceのアドオンも含めて相談できる |
| 問題が起きたら自社で対応 | 導入後も電話・メールでサポートを受けられる |
| Vault単体で考える | セキュリティ・業務効率化まで含めて環境を検討できる |
導入時の設定から運用定着まで専任の担当者がサポートするため、社内に専門知識を持つ担当者がいない場合でも、安心してGoogle Workspaceを導入・運用いただけます。
サテライトオフィスのGoogle Workspace導入支援の詳細はこちら
Google Vaultは、Google Workspaceのデータを保持・検索・書き出しできる、情報ガバナンス・電子情報開示(eDiscovery)のためのツールです。
記録保持などを活用すれば、法務・コンプライアンス対応や内部調査にも役立ちます。
一方でバックアップ目的のサービスではなく、利用にはエディションやライセンスの条件がある点、とくに2025年11月以降は管理者にもVaultライセンスが必要となった点には注意しましょう。
サテライトオフィスでは、Google Workspaceの導入支援から運用サポートまでを一貫して提供しています。
Google Vaultを含めた機能やプラン選定でお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
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