第144回


Googleドライブを組織で活用していると、「個人のマイドライブに蓄積されたファイルを共有ドライブに移したい」という場面が訪れることがあります。しかし、単純にドラッグ&ドロップするだけでは移動できなかったり、権限エラーが出て操作が止まったりするケースが多く、担当者が困惑することは珍しくありません。
本記事では、マイドライブと共有ドライブの根本的な違いから、ファイル移動の手順、必要な権限の組み合わせ、移動できない場合の対処法、そして組織全体で移行を進める際のポイントまで整理します。

操作の前に、両者の構造的な違いを理解しておくことが重要です。マイドライブと共有ドライブは同じGoogleドライブの画面から使えますが、設計思想がまったく異なります。この違いを知らずに操作すると、「なぜ移動できないのか」という疑問が解消できません。
マイドライブに保存されたファイルは、そのドライブの持ち主がオーナーです。複数のメンバーと共有していても、ファイルの所有権は作成者本人に属します。つまり、メンバーが退職してアカウントを削除すると、そのメンバーがオーナーのファイルは理論上消失するリスクがあります。
一方、共有ドライブのファイルのオーナーは個人ではなく「組織」です。メンバーが入れ替わっても、共有ドライブ内のファイルは組織に帰属し続けます。この点がマイドライブとの最大の違いであり、ビジネス利用においては共有ドライブが推奨される理由でもあります。
マイドライブのファイルはオーナーのGoogleアカウントのストレージを消費します。共有ドライブに移動したファイルは、組織のGoogle Workspaceのストレージ割り当てから消費されます。
| 項目 | マイドライブ | 共有ドライブ |
|---|---|---|
| 利用条件 | 無料Googleアカウントで利用可 | Google Workspace有料版が必要(無料アカウント不可) |
| ファイルのオーナー | 作成した個人アカウント | 組織(共有ドライブ自体) |
| ストレージ消費 | オーナーのアカウント容量 | 組織のWorkspace容量 |
| アカウント削除時 | ファイルが消失するリスクあり | ファイルは残り続ける |
| アクセス管理 | オーナーが個別に設定 | 共有ドライブの権限で一元管理 |
| スマホからの移動操作 | 可能 | PCブラウザのみ(マイドライブからの移動時) |
ストレージの消費元が変わるため、マイドライブから共有ドライブへの移動後は、オーナー個人のストレージ使用量が減少し、組織側の使用量が増加します。容量管理の観点からも、移行計画を立ててから進めることをお勧めします。

マイドライブから共有ドライブへのファイル移動は、PCのブラウザ(Google Driveのウェブ版)からのみ実行できます。スマートフォンやタブレットのアプリからは操作できないため、必ずPCから作業してください。
Googleドライブ(drive.google.com)にPCのブラウザでアクセスし、仕事用または学校用のアカウントでログインします。手順は以下のとおりです。
ドラッグ&ドロップで移動することも可能です。マイドライブのファイルを選択し、左のナビゲーション欄に表示されている共有ドライブの名前の上にドロップすると移動できます。ただし、Googleは公式に右クリックからの「移動」操作を推奨しており、ドラッグ&ドロップはブラウザや画面サイズによって操作しにくい場合があります。
フォルダをまとめて共有ドライブに移動する場合、フォルダ内のすべてのファイルがフォルダと一緒に移動します。移動後のファイルは共有ドライブの権限設定に従ってアクセス管理されるようになるため、移動前に共有ドライブ側のメンバーと権限設定を確認しておくことが重要です。
また、フォルダ内に他のユーザーがオーナーであるファイルが混在している場合、そのファイルは一緒に移動できないことがあります。移動前に「ファイル情報(詳細)」からオーナーを確認しておくと、スムーズに進められます。

マイドライブから共有ドライブへの移動には、移動先の共有ドライブにおける適切な権限が必要です。権限が不足している状態で移動しようとすると、エラーが表示されて操作がブロックされます。
共有ドライブには5つの権限レベルが設定されています。それぞれの権限でできることを把握しておくと、移動操作の際にエラーが起きた場合の原因特定が容易になります。
| 権限レベル | 主にできること |
|---|---|
| 管理者 | メンバーの追加・削除、共有ドライブの設定変更、ファイルの削除を含む全操作 |
| コンテンツ管理者 | ファイル・フォルダの追加・編集・移動・削除(メンバー管理は不可) |
| 投稿者 | ファイル・フォルダの追加・編集(移動・削除は不可) |
| コメント投稿者 | ファイルの閲覧とコメントのみ |
| 閲覧者 | ファイルの閲覧のみ |
ファイルを共有ドライブへ移動するには、原則として移動先の共有ドライブで「コンテンツ管理者」以上の権限が必要です。
移動が可能かどうかは、「移動するファイルのオーナーが誰か」と「移動先の共有ドライブでの自分の権限」の2軸で決まります。
| 移動対象 | 自分の権限(移動先共有ドライブ) | 移動の可否 |
|---|---|---|
| 自分がオーナーのファイル | コンテンツ管理者以上 | 可能 |
| 自分がオーナーのファイル | 投稿者以下 | 不可 |
| 他の人がオーナーのファイル | コンテンツ管理者以上かつ元ファイルの編集権限あり | 条件付きで可能(オーナーに通知あり) |
| フォルダ | コンテンツ管理者以上 | 可能(フォルダ内の全ファイルも移動) |
他のユーザーがオーナーのファイルを移動した場合、そのオーナーにはファイルが移動されたことがメールで通知されます。組織全体での移行を進める際は、事前にメンバーへ移行の目的と流れを説明しておくと混乱を防げます。

移動操作を行ったにもかかわらず「移動できない」という状況は、いくつかの原因が考えられます。エラーメッセージや状況に合わせて対処法を確認してください。
「移動」ボタンがグレーアウトしている、または操作後にエラーが表示される場合は、以下のいずれかが原因として考えられます。
権限が原因の場合は、共有ドライブの管理者(多くの場合IT担当者)に権限の変更を依頼するのが最短の解決策です。
フォルダ単位での移動がうまくいかない場合、フォルダ内のファイルを一時的に全選択して共有ドライブに移動し、その後フォルダ構造を共有ドライブ側で再作成するという方法があります。作業量は増えますが、権限制限を受けにくい手順として有効です。
大量のファイルを移行する場合は、Google Workspace Migrate(管理者向けの移行ツール)を活用する選択肢もあります。ただし、管理者権限と一定の技術知識が必要なため、専門のパートナー企業のサポートを受けながら進めることを検討してください。
注意:共有ドライブへ移動したファイルは、移動前の権限設定が上書きされ、共有ドライブの権限ポリシーが適用されます。移動後にアクセスできなくなるメンバーが出ないよう、事前に共有ドライブのメンバー構成を確認してください。

個別ファイルの移動と、組織全体の移行プロジェクトは別物です。後者では、事前の設計と段階的な実行が成否を左右します。
移行を成功させるための事前準備として、以下を整理しておくことが有効です。
特にフォルダ設計を後から変更すると影響範囲が大きくなるため、移行前にIT担当者と現場の担当者が共同で設計を固めることが重要です。
一斉移行はリスクが高く、移行後に「どこにあるかわからない」という問い合わせが大量発生することがあります。まず1つの部門や特定のプロジェクトで移行を試行し、問題がないことを確認してから全社展開するアプローチが現実的です。
段階的な移行を進める中でGoogleドライブの運用ルール(命名規則・権限設定の基準・削除ポリシーなど)を整備していくと、移行後の定着率が大きく上がります。移行そのものだけでなく、その後の運用設計まで視野に入れた計画を立てることが、長期的な成果につながります。

マイドライブから共有ドライブへの移行は、ファイルの移動操作そのものよりも、権限設計や運用ルールの策定が難しい部分です。特に数十名以上の組織で一斉に移行する場合は、専門家のサポートがあると確実です。
サテライトオフィスは、Googleプレミアパートナーとして、Google Workspace導入支援実績5,000社以上(2026年3月時点)・アドオンツール導入実績8万社以上を持ちます。GoogleドライブをはじめとしたGoogle Workspaceの導入・社内運用支援を、ワンストップでサポートしています。
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