第162回


「グループウェアの製品が多すぎて、どれを比較すればよいかわからない」「比較表を見ても、自社に合うかどうか判断できない」と悩むIT担当者は多いでしょう。
グループウェアは、Google WorkspaceやMicrosoft 365のような統合型、サイボウズなどの国産オールインワン型、LINE WORKSのようなコミュニケーション特化型に分かれ、比較表で同じ「○」が付いていても中身は大きく異なります。
本記事では、主要6製品の料金・機能の比較に加え、IT担当者が押さえておくべき7つの比較基準や、比較表だけでは見えない落とし穴まで解説します。

グループウェアと一口に言っても、中身は大きく3つのタイプに分かれます。比較を始める前に、自社がどのタイプを必要としているかを整理しておくと、製品選びで遠回りをせずに済みます。
3つのタイプの違いは、次のとおりです。
同じ「グループウェア」という括りでも、契約範囲は大きく変わります。まずは自社がどのタイプを軸に検討するかを決めましょう。
自社の課題から製品を絞り込みたい場合は、以下を参考にしてください。
| 自社の課題 | 候補製品 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 初めてグループウェアを導入する | サイボウズ Office、 desknet's NEO、Google Workspace | 直感的に操作でき、初期費用0円で少人数から始められる |
| メール・文書作成アプリも含めて環境をまとめたい | Google Workspace、 Microsoft 365 | メール・文書作成・Web会議・ストレージを1つの契約でそろえられる |
| 稟議・多段承認など社内手続きを電子化したい | Garoon、desknet's NEO (統合型ならアドオンで補完) | 多段承認や条件分岐のワークフローを標準機能で使える |
| 店舗・工場など現場との連絡を強化したい | LINE WORKS | LINEと同じ操作感で、スマートフォン中心の現場にも定着しやすい |
| AI活用を進めたい | Google Workspace (Gemini)、Microsoft 365 (Copilot) | メールや文書作成などの主要アプリにAIが組み込まれている |
早見表はあくまで出発点です。次の比較一覧表と、後述する7つの比較基準を使って、候補を2〜3製品まで絞り込んでください。

主要6製品を、料金や機能の面から一覧表にまとめました。まず全体像をつかんでから、各社の特徴や注意点に進んでください。
| 項目 | Google Workspace | Microsoft 365 | LINE WORKS | サイボウズ Office | Garoon | desknet's NEO |
|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 統合型 | 統合型 | コミュニケーション特化型 | 国産オールインワン型 | 国産オールインワン型 | 国産オールインワン型 |
| 月額料金の目安(1ユーザー・年払い、税抜) | 800円〜2,500円(Business Starter〜Plus) | 1,049円〜3,298円(Business Basic〜Premium) | 0円〜800円(フリー〜アドバンスト) | 600円〜1,000円(スタンダード・プレミアム) | 900円(基本プランのみ、最低10ユーザーから) | 600円〜1,000円(ライト〜プレミアム) |
| 法人メール環境 | 標準搭載 | 標準搭載(Apps for businessのみ非搭載) | アドバンストのみ標準搭載 | 標準搭載なし(外部メールサーバーへの接続が前提) | 標準搭載なし | 標準搭載なし(オプション契約) |
| デスクトップ版Office・文書作成 | なし(ブラウザ・モバイル版のみ) | あり(Standard・Premium・Apps for business) | なし | なし | なし | なし |
| 多段階承認ワークフロー | △簡易な申請機能のみ | △Teamsの承認アプリ | △有償オプション | ○基本機能を標準搭載 | ◎複雑な分岐に標準対応 | ○ 多段承認・条件分岐に対応 |
| AI機能 | Gemini(Starterでも一部利用可。Standard以上で利用範囲が拡大) | Copilot(同梱プランまたは追加契約) | 別サービス「LINE WORKS AiNote」でAI議事録・要約に対応 | AIラボ(要約AI・校正AI・ヘルプAIなど) | Garoon AIラボ(β版) | ChatGPT連携あり/neoAI Chatは有料オプション |
| 提供形態 | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウド版・オンプレミス版の両方 |
以下の参考URLは、2026年9月時点です。最新情報は公式サイトをご確認ください
Google Workspace:https://workspace.google.com/pricing
Microsoft 365:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business
LINE WORKS: https://line-works.com/pricing/
サイボウズ:https://office.cybozu.co.jp/price/cloud/
Garoon クラウド版: https://garoon.cybozu.co.jp/price/
desknet's NEO:https://www.neo.co.jp/news/20240416/

ここからは、6製品それぞれの特徴と、比較表だけでは見えない注意点を解説します。料金や機能の「○」「×」だけで判断すると、契約後に想定外の追加費用や運用の手間が発生することがあります。各製品の強みだけでなく、どのような企業には向かないかもあわせて確認してください。
ブラウザだけで利用でき、複数人でのファイル同時編集に強い統合型です。Business StarterでもGeminiの一部機能を利用でき、Business Standard以上ではGoogleドキュメントやMeetなど、より幅広いアプリでAI機能を利用できます。
注意点は、稟議・多段承認、組織横断のカレンダーといった日本企業特有の業務が、標準機能では弱いことです。複雑な分岐には追加のアプリ開発が必要です。
【関連記事】Google Workspaceとは?主要サービスやビジネス向けプランの特徴と選び方
Officeアプリとの親和性が高く、セキュリティも充実した統合型です。Basic・Standard・Premium・Apps for businessの4プランで構成がやや複雑です。
Copilotを利用する場合は、同梱プランを選ぶか、対象ライセンスにMicrosoft 365 Copilot Businessを追加します。
サテライトオフィスのMicrosoft 365導入支援の詳細についてはこちら
LINEと同じ操作感で使え、ITに不慣れな現場スタッフにも定着しやすいコミュニケーション特化型です。フリー(30ユーザーまで無料)、スタンダード、アドバンストの3段階で、メールはアドバンストのみ標準搭載です。
注意点は、文書作成機能を持たないことです。多段承認を電子化するには、有償オプション「ワークフロー」の追加契約が必要です。
【関連記事】【完全版】LINE WORKSのビジネス活用方法 料金・導入ポイントも徹底解説
中小企業向けに設計された国産オールインワン型で、マニュアルなしでも直感的に使える操作性が特徴です。スタンダード・プレミアムの2コース制で、プレミアムでは業務に合わせた「カスタムアプリ」を追加できます。
注意点は、メールが標準では含まれないことです。Webメール機能はありますが、既存のメールサーバー(SMTP・POP3対応)への接続が前提で、法人ドメインのメールボックス自体は別途用意が必要です。ワークフローもGaroonより簡易な設計です。
中堅〜大企業向けの国産オールインワン型で、部署・役職・金額に応じた多段階承認や代理承認のワークフローが標準機能として使える点が強みです。組織を横断したポータルやスケジュール調整にも対応しています。
注意点は、サイボウズ Officeと同様、法人メールのメールサーバーやOfficeアプリは別途用意する必要がある製品が多いです。クラウド版は基本プランのみのシンプルな料金体系ですが、最低契約人数が10ユーザーからとなっている点も確認してください。
国産のオールインワン型で、クラウド版とオンプレミス版(パッケージ版)の両方から選べる点が特徴です。クラウド版は「ライト」「スタンダード」「プレミアム」など複数プランがあり、AppSuiteやChatLuckと組み合わせて契約できます。
注意点は、メールやOfficeアプリが標準では含まれないことです。メールはクラウドメールサービスとして別契約になります。近年はAIアシスタント機能も搭載されていますが、高度な活用には追加契約が必要な場合があります。

料金や機能の比較表だけでは見えない、選定を左右する基準を7つに整理しました。上位の比較記事が触れていない論点も含まれているため、自社の状況に当てはめながら読み進めてください。
ユーザー単価だけで比べると判断を誤ります。同じ機能をそろえた状態で、初めて公平な比較になるためです。
たとえば国産オールインワン型は単価が安く見えても、メールサーバーやOfficeアプリ、必要なアドオンを別途契約すると、統合型より総額が高くなる場合があります。移行作業や社員からの問い合わせ対応にかかる工数も、見えにくいコストとして計算に入れてください。
3年間などの一定期間で総額をシミュレーションすると、単価だけの比較より実態に近い金額が見えてきます。
上位記事がほぼ触れていない、情シスの日常業務に直結する基準です。
入社・退職のたびにアカウントの発行と停止を一元管理できるか、既存のIDプロバイダ(Entra IDなど)とシングルサインオンで連携できるかを確認してください。退職者のアカウントが残ったままだと、社外から社内データにアクセスできる状態が続いてしまい、情報漏えいのリスクになります。
多要素認証の強制、アクセス制限、監査ログの保存期間、端末紛失時のリモートデータ消去など、セキュリティ関連の機能範囲を確認します。
同じ製品でもプランによって使える機能が大きく異なるため、「製品単位」ではなく「プラン単位」で比較することが大切です。上位プランでしか使えない機能を見落とすと、契約後に想定外の追加費用が発生します。とくに端末管理と監査ログは、情報漏えい発生時の原因調査に直結するため、優先度を上げて確認することをおすすめします。
稟議・多段承認・代理承認、組織横断のカレンダー、掲示板・回覧板といった業務は、国産製品が強く、統合型が弱い領域です。
多段階の承認や条件分岐まで標準機能でできるかは、製品ごとに差があります。自社の稟議フローが複雑であるほど、この基準を重視してください。紙の稟議書をそのまま電子化したい場合は、実際の申請フォーマットで動作確認してから契約することをおすすめします。
既存のメールサーバーやファイルサーバーから、どの程度スムーズにデータを移行できるかを確認します。
Officeファイルとの互換性や、勤怠管理・会計システムなど他システムとの連携範囲も、日常業務の使い勝手に直結します。移行時に業務を止められない企業ほど、早い段階で移行方法を具体的に確認しておく必要があります。移行作業を代理店やベンダーに依頼できるかどうかも、社内工数を左右する重要な確認項目です。
生成AI機能が標準で使えるのか、別契約が必要なのかを確認します。
どのアプリで使えるか(メールのみか、文書作成全般かなど)も製品によって差があります。加えて、入力したデータがAIの学習に使われない設定になっているかも、情報漏えい対策として確認しておきたいポイントです。AI機能は各社とも更新が速い分野のため、契約前には必ず現行の提供範囲を公式サイトで確認してください。
日本語サポートの有無と受付時間、代理店経由での一次対応の可否を確認します。
海外製品では日本語サポートの受付時間が限られる場合があるため、社内のトラブル対応フローとかみ合うかを事前に確認してください。請求書払いに対応しているかどうかも、経理処理の手間に影響する実務的な基準です。障害発生時の一次窓口が公式サポートか代理店かによって、対応スピードが変わる点もあわせて確認しておきましょう。
サテライトオフィスは、Google WorkspaceやMicrosoft 365、LINE WORKSなど、主要なグループウェアの導入支援に対応しています。自社に合う最適なものをご提案します。お気軽にお問い合せください。
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比較基準を理解したら、次は実際の選定プロセスに落とし込みます。次の4ステップで進めると、比較倒れにならずに、着実に選定を進められます。順番に確認してください。
ステップ1は、経営層・情シス・現場の3者で、それぞれが感じている困りごとを洗い出します。経営層はコストとガバナンス、情シスは運用負荷とセキュリティ、現場は使いやすさを重視する傾向があり、視点がずれたまま進めると、導入後に「使われないグループウェア」になりがちです。
3者の要件を早い段階ですり合わせておくことが、後戻りを防ぐ第一歩になります。この段階で必須要件と、あれば望ましい要件を分けておくと、後のステップで候補を絞り込みやすくなります。
ステップ2は、前述の課題別の早見表と、7つの比較基準を使って、候補を2〜3製品まで絞り込みます。
製品数が多いまま比較を続けると、検討に時間がかかるだけでなく、担当者ごとに評価軸がぶれてしまいます。あらかじめ重視する基準に優先順位を付けておくと、絞り込みの精度が上がります。統合型・国産オールインワン型・コミュニケーション特化型のうち、まずどのタイプを軸にするかを決めてから、同タイプ内で比較すると効率的です。
ステップ3では、絞り込んだ候補を実際にトライアルで検証します。確認すべきポイントは、操作性、自社業務に合うか、既存システムとの連携、管理者の負担の4点です。
現場担当者にも実際に触ってもらい、画面上の見え方だけでなく、日常業務での使い勝手まで確認してください。管理者側の設定作業にどの程度の工数がかかるかも、この段階であわせて確認しておきましょう。トライアル期間は、できれば2週間以上確保すると実態を把握しやすくなります。
最後に、3年間程度の総額と、移行時に想定されるリスクと対策をセットにして稟議にかけます。ライセンス費だけでなく、移行費や運用工数まで含めた総額を示すことで、経営層の判断材料になります。想定されるトラブルへの対策まで添えておくと、稟議が通りやすくなります。逆に総額とリスク対策があいまいなまま提出すると、差し戻しの原因になりやすいので注意してください。

「製品が多すぎて、結局どれを選べばいいのかわからない」
「通常業務をしながら、比較・見積もり・社内調整まで進める時間がない」
「導入後の初期設定やデータ移行、問い合わせ対応まで自分たちで抱えたくない」
グループウェアの導入は、製品を選んで契約すれば終わりではありません。料金や機能の比較に加え、既存環境との連携、データ移行、アカウント設定、社内への展開など、IT担当者が対応すべき業務は多岐にわたります。
サテライトオフィスでは、Google Workspace・Microsoft 365・LINE WORKSなどの主要製品を取り扱い、製品・プランの選定から見積もり、初期設定、データ移行、導入後の運用までまとめて支援しています。自社開発のアドオンも提供しているため、上位プランへ変更せず、必要な機能だけを追加できる場合もあります。
自社だけで比較・導入を進めるのが難しい場合は、サテライトオフィスにご相談ください。IT担当者の負担を抑えながら、自社に合ったグループウェアの導入を進められます。
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グループウェアの比較・選定でよく寄せられる質問に答えます。
メールやOfficeもまとめて契約したいなら統合型、社内手続きの電子化を優先するなら国産型が向いています。予算が限られる場合は、サイボウズ Officeのように単価の低い国産型から検討する企業も多くあります。まずは前述の課題別の早見表から、自社に近い課題を探して絞り込んでください。
Officeファイルを中心に業務を進めているならMicrosoft 365、ブラウザでの共同編集を中心に業務を進めているならGoogle Workspaceが向きやすい傾向があります。詳しくは以下の記事をご確認ください。
【関連記事】Microsoft 365とGoogle Workspaceを徹底比較|料金・AI・セキュリティの違いと最適な選び方を紹介
ビジネスチャットは連絡業務に特化したツールです。グループウェアはスケジュールやファイル共有、ワークフローなども含めて、社内の情報共有全般をまとめて管理する点で範囲が異なります。LINE WORKSのように、両方の性質をあわせ持つ製品もあります。
乗り換え自体は可能ですが、データ移行と社員の再教育に手間がかかります。とくにメールや過去のファイルの移行は、想定より時間がかかるケースが多い作業です。乗り換えのたびに業務が止まるリスクを避けるためにも、最初の選定段階で比較基準を固めておくことが重要です。
グループウェアは、料金や機能数だけで選ぶのではなく、自社の課題や運用に合うかを基準に比較することが大切です。
まずは統合型・国産オールインワン型・コミュニケーション特化型のどれが自社に合うかを整理し、候補を2〜3製品に絞りましょう。そのうえで、トータルコスト、ID管理、セキュリティ、既存環境との連携、AI機能、サポート体制などを比較すると、判断しやすくなります。
候補が決まったら、実際にトライアルを行い、現場の使いやすさや管理者側の運用負担まで確認してください。ライセンス費だけでなく、移行費や運用工数も含めた総額で比較することが、導入後のミスマッチを防ぐポイントです。
自社だけで判断が難しい場合は、複数製品を扱う代理店に相談しながら選定を進めるのもひとつの方法です。
グループウェアの導入を検討されている方は、サテライトオフィスへお気軽にご相談ください。
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