第176回


会議を録画しようとしたら、画面のどこにも録画のボタンが見当たらない。主催者は外部の取引先で頼みづらい。そんな場面に出くわした方は少なくないはずです。
Google Meetの録画は、誰でも自由に開始できるものではありません。ただ、条件と設定さえ理解しておけば、主催者以外の参加者が録画することも可能です。本記事では、その条件と正規の設定手順、そして企業として整えておくべき運用ルールまでを順に説明します。

結論から述べます。条件を満たせば主催者以外でも録画できます。ただしその条件は、利用しているプランと、主催者の組織に属しているかどうかで決まります。
Googleのヘルプでは、録画を開始できるユーザーとして、会議の主催者、主催者に録画の権限を与えられた参加者、主催者の組織に所属していないが共同主催者に昇格したユーザー、そして主催者向けの管理機能がオフになっている場合の主催者の組織に所属するユーザーが挙げられています。社外から一般の参加者として入っている人は、原則として録画を開始できません。ここが「主催者以外は録画できない」という理解が広まった理由でしょう。
裏を返せば、主催者向けの管理機能がオンになっていると、録画は主催者と共同主催者に限定されます。同じ組織の参加者であってもボタンが現れないのは、この設定が効いているためです。なお主催者向けの管理機能は、既定ではオフになっています。
| 参加者の立場 | 録画の可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 会議の主催者 | 可能 | 対応プランを利用していることが前提 |
| 共同主催者に指定された人 | 可能 | 主催者が会議中に指定できる |
| 主催者と同じ組織の参加者 | 条件により可能 | 主催者向けの管理機能がオンの場合は不可 |
| 社外から参加している人 | 不可 | 共同主催者に昇格すれば可能になる |
つまり、録画したい参加者がいるなら、事前に共同主催者へ指定してもらうのが最も簡単な解決策になります。会議が始まってからでも指定でき、一つの会議あたり25人まで追加できます。

そもそも録画機能は、すべての利用者に開放されているわけではありません。無料のGoogleアカウントでは利用できず、対応するプランを契約している場合にのみ提供されます。
Googleのヘルプに記載されている対応エディションは、Business Standard、Business Plus、Essentials、Enterprise Essentials、Enterprise Starter、Enterprise Standard、Enterprise Plus、Education Plus、Teaching and Learning Upgrade、Workspace Individual、そして保存容量2TB以上のGoogle Oneです。法人向けのGoogle Workspaceだけでなく、個人向けの上位プランでも利用できる点は覚えておくと役立ちます。
一方、もっとも安価なBusiness Starterには録画機能が含まれていません。ボタンが表示されないという相談を受けたときは、管理コンソールの設定を見直す前に、契約中のエディションを確かめるほうが早く解決します。プランの構成については取り扱う代理店に相談すると、必要な機能と費用の兼ね合いを整理しやすくなります。

権限の話に入る前に、そもそも何のために録画するのかを確かめておきましょう。目的によっては、録画以外の手段のほうが適しています。
業務で録画が求められる場面は、おおむね四つに分類できます。欠席者への共有、内容の正確な記録、教育や研修への再利用、そして言った言わないを避けるための証跡です。それぞれ求められる品質も保存期間も違います。
| 目的 | 求められること | 適した手段 |
|---|---|---|
| 欠席者への共有 | 要点が伝わること | 議事録で足りる場合が多い |
| 内容の正確な記録 | 発言の順序と表現が残ること | 文字起こし、または録画 |
| 教育や研修への再利用 | 操作画面や実演が見えること | 録画が必要 |
| 証跡として残す | 改変されていないこと | 録画に加えて保管の方針が必要 |
この整理を行うと、録画が必須なのは三番目と四番目に限られることが多いと気づきます。欠席者への共有が目的であれば、要点をまとめた文章のほうが読む側の負担も軽く済みます。
それでも録画が必要という結論になったら、次の節で説明する方法で権限を整えていきましょう。目的が明確であれば、誰に権限を与えるべきかも自然と定まります。

正規の方法は三つあります。会議単位で対応するか、組織全体の設定で対応するかによって、選ぶ手段が変わります。
最も手早い方法です。主催者が参加者一覧から該当者を選び、共同主催者として追加します。指定された人には、録画を含む主催者と同等の操作権限が与えられます。定例会議であれば、事前に共同主催者を登録しておくこともできます。
主催者管理が有効な状態では、同じ組織の参加者であっても録画できません。会議の性質上そこまで制限する必要がなければ、主催者側で無効にしてもらう方法があります。ただしこの設定は画面共有やチャットの制御にも影響するため、外部参加者を含む会議では慎重に判断したいところです。
組織として恒久的に対応するなら、管理コンソールでの設定が本筋です。特定の部署だけに録画を許可する、といった配り分けもできます。次の節で手順を説明します。

録画の可否は、管理コンソールから組織部門または構成グループ単位で制御できます。全社一律にする必要はありません。
管理コンソールにログインし、アプリ、Google Workspace、Google Meetと進みます。Meetの動画設定の中に録画に関する項目があるので、対象の組織部門を左側で選んだうえで、録画を許可する設定を有効にします。変更が反映されるまでに時間がかかる場合があるため、直後に確認して切り替わっていなくても慌てないでください。
録画を全社で有効にする前に、保存先となるGoogleドライブの容量と、録画データの保持方針を確認しておきましょう。会議の録画は容量を大きく消費します。方針を決めないまま許可すると、数カ月後に容量の逼迫という別の課題が生じます。
組織部門で分けておけば、録画が業務上必要な部署だけに開放するという運用も可能です。営業やサポート部門には許可し、それ以外は必要に応じて申請する形にする。この程度の粒度でも、無秩序な録画データの増加は十分に抑えられます。

権限の問題が解決しても、押し忘れという別の問題が残ります。会議が始まって議論が進んでから、録画していないことに気づく。誰しも経験があるのではないでしょうか。
Googleカレンダーで会議を作成する際、Meetの設定から録画を自動的に開始するよう指定できます。会議の開始と同時に録画が始まるため、押し忘れが起きません。定例の会議や、記録が必須の会議に向いた設定です。
ただし、自動録画には注意点もあります。会議の前後の雑談まで記録されるため、参加者が気を抜いた場面も残ります。また、参加者には録画中である旨が表示されますが、通知に気づかない人もいるでしょう。自動録画を使う会議では、招待の本文に録画される旨を明記しておくとよいでしょう。
自動録画を設定した定例会議を、別の議題に転用する場面には注意が必要です。人事や評価に関する話を録画される設定の会議室で行ってしまい、後から気づくというケースも起こり得ます。会議の性質を変えるときは、設定も合わせて見直しておきましょう。
なお、録画に加えて文字起こしを生成する機能が提供されている場合もあります。映像を残さずに内容だけを記録したい場面では、そちらのほうが目的に合うでしょう。利用できるかどうかは契約しているプランによります。

録画したデータがどこに保存されるかを知らないまま録画を始めると、後から探し回ることになります。保存先は決まっています。
録画ファイルは、会議の主催者のGoogleドライブに作られる「Google Meet」フォルダへ保存されます。このフォルダの中に、会議ごとのサブフォルダが作られる構造です。録画を開始した人が主催者と異なる場合、その人にも録画データへのリンクがメールで届きます。処理には会議終了後しばらく時間がかかるため、直後にフォルダを開いても見つからないことがあります。
共有はGoogleドライブの通常のファイルと同じ手順で行えます。リンクを知っている人に閲覧を許可する設定は便利ですが、会議内容によっては範囲を絞ることも検討したいところです。録画データは、議事録よりも多くの情報を含んでいます。共有範囲は、参加者の発言内容を踏まえたうえで判断しましょう。
録画は主催者のマイドライブに保存されるため、放置すると個人の容量を圧迫します。さらに、その主催者が退職するとファイルの扱いが面倒になります。組織として残す価値のある録画は、共有ドライブへ移しておくと安心です。
整理の基準は、会議の種類ごとに決めるのが実用的です。研修や説明会の録画は資産として長期保存し、定例の打ち合わせは一定期間で削除する。この程度の区分でも、無秩序に溜まる状態は避けられます。
| 会議の種類 | 保存の方針 | 置き場所 |
|---|---|---|
| 研修や操作説明 | 長期保存し、繰り返し視聴できるようにする | 共有ドライブの教育用フォルダ |
| 顧客との商談 | 案件の完了まで保存し、その後は削除する | 案件ごとの共有ドライブ |
| 社内の定例会議 | 要点を文字で残し、録画は短期間で削除する | 部署の共有ドライブ |
| 人事や評価に関する会議 | 原則として録画しない | 該当なし |
四番目を明文化しておくことをおすすめします。録画の可否を個々の主催者に委ねると、基準がぶれやすくなります。録画しない会議を先に定めるほうが、運用としては明快です。
組織の設定によっては、録画データを社外へ共有すること自体を制限できます。Googleドライブの外部共有設定が録画にも適用されるためです。会議の録画が社外へ出ることを想定していないのであれば、この制限を効かせておくとよいでしょう。
社外の参加者に録画を渡す必要がある場合は、相手のアドレスを指定した共有を選び、閲覧のみの権限にとどめておきましょう。ダウンロードや再共有を禁止する設定も併用できます。完全な防御にはなりませんが、無意識の転送は抑えられます。

録画は成功したのにファイルが見当たらない。この相談も少なくありません。保存の仕組みを理解していれば、探す場所はすぐに絞れます。
まず確認するのは、自分が主催者だったかどうかです。録画データは会議の主催者のドライブに保存されるため、参加者として録画を開始した場合、自分のドライブには現れません。届いているのはリンクを知らせるメールだけです。
次に、時間の経過を確認しましょう。会議の終了後、変換の処理が完了するまでファイルは現れません。長時間の会議では、待ち時間もそれに応じて長くなります。会議直後に見当たらないのは正常な状態です。
| 状況 | 探す場所 |
|---|---|
| 自分が主催者だった | 自分のマイドライブにある録画用のフォルダ |
| 参加者として録画した | 届いたメールのリンク、または主催者へ依頼する |
| カレンダーから会議を作成した | 該当する予定の詳細に添付されている場合がある |
| 主催者が退職している | 管理者にファイルの所有者移管を依頼する |
四番目の状況を防ぐためにも、組織として残す価値のある録画は共有ドライブへ移す運用を定めておくとよいでしょう。個人のドライブに置かれたままでは、同じ問題が繰り返されます。

ボタンが見当たらない、押しても始まらないという相談は、原因が階層的に分かれます。上から順に確認すると切り分けが早く済みます。
| 確認する順序 | 確認内容 | 該当した場合の対応 |
|---|---|---|
| 1 | 契約プランに録画機能が含まれているか | プランの変更を検討する |
| 2 | 管理コンソールで録画が許可されているか | 該当する組織部門の設定を有効にする |
| 3 | 自分が主催者と同じ組織に属しているか | 共同主催者への指定を依頼する |
| 4 | 主催者管理の機能が有効になっていないか | 主催者に無効化または共同主催者の指定を依頼する |
| 5 | 録画を開始できる端末から参加しているか | 録画の開始はパソコンとAndroid端末のみ対応。iPhoneやiPadでは開始できない |
| 6 | Googleドライブの空き容量が足りているか | 不要なファイルを整理するか容量を追加する |
利用者からの問い合わせで多いのは、三番目と四番目です。設定の問題ではなく会議の運用の問題であることが多いため、管理者が調べる前に主催者へ確認してもらうと解決が早まります。

技術的に録画できることと、録画してよいことは別の話です。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、後から大きな問題になりかねません。
Google Meetでは録画が始まると参加者全員に通知が表示されますが、通知が出たことをもって同意が得られたと考えるのは早計です。とくに社外の参加者が含まれる会議では、録画の目的、保存期間、共有範囲を事前に伝え、了解を得たうえで開始しましょう。
なお、画面録画ソフトなどを使って参加者に知らせずに記録する手法が紹介されている場合がありますが、企業の業務としては推奨できません。相手の信頼を損なうだけでなく、社内規程や契約上の守秘義務に抵触する可能性もあります。必要であれば、正規の手順で権限を得ておきましょう。
三つ目のひな形は地味ですが効果があります。毎回言い方を考える負担がなくなり、告知の抜けも減ります。

Google Meetの録画は、主催者以外でも条件次第で実行できます。鍵になるのは、プランの確認、管理コンソールでの権限付与、そして共同主催者の活用という三点です。
一方で、録画を全社に開放すれば済む話でもありません。保存容量、共有範囲、社外参加者への配慮まで含めて設計することで、録画は業務に役立つ資産になります。設定だけを先に変えて運用ルールを後回しにすると、後から見直しが必要になります。
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