第181回


Gmailの受信トレイに未読メールが数千件単位で溜まっている、というケースは情報システム部門や総務部門でも珍しくありません。件数が多いほど一件ずつ処理するのは現実的ではなく、かといって内容を確認せずに削除するのも避けたいところです。
未読メールが多い状態は、単なる見た目の問題にとどまりません。対応が必要なメールが埋もれたり、重要な通知に気づきにくくなったりする要因にもなります。本記事では、Gmailを開封済み(既読)にする操作をパソコン・スマートフォンの環境別に整理したうえで、うまくいかない場合の原因や、未読を溜めない設定についても解説します。

はじめに用語を整理します。Gmailの画面上には「開封済み」という表記はなく、同じ操作は「既読にする」という名称で提供されています。
「開封済みにする」「既読にする」「開封する」は日常会話では混同されがちですが、指している操作は一つです。いずれもメールの状態を未読から既読へ切り替えることを意味します。設定画面や操作ボタンを探す際は、「既読」という表記を目印にしましょう。
既読の状態はアカウントに紐づいている点も押さえておきましょう。パソコンで既読にすれば、スマートフォンのアプリでも同様に反映されます。既読の状態はどの端末で操作しても同じアカウントに反映されます。端末ごとに処理し直す必要はありません。

まず基本の操作を確認します。メールを開かずに既読へ変更できる点が、この手順のポイントです。
Googleのヘルプが案内している手順は次の通りです。パソコンでGmailを開き、対象のメールの左側にあるチェックボックスをオンにします。そのうえで、一覧の上部に現れる既読にするアイコンをクリックします。複数のメールにチェックを入れておけば、まとめて処理できます。
受信トレイ全体を対象にしたい場合は、一覧の左上にあるチェックボックスをオンにして、上部の既読にするアイコンをクリックします。ただしこの操作で選ばれるのは、いま画面に表示されている範囲だけです。ここを誤解したまま実行して、なぜ未読が残るのかと悩む方は少なくありません。
既読にすると、そのメールに対して通知が届いていた場合も含めて、未読という手がかりが失われます。対応が済んでいないメールが混ざっている可能性があるなら、実行前に重要なものへスターを付けるか、ラベルで分けておきましょう。
内容を確認する必要はないものの、未読の表示だけを消したい。そうした場面では、メールを開かずに既読へ変えられます。一覧でチェックボックスをオンにして既読にするアイコンを押すだけで、本文を表示することなく状態が切り替わります。
この操作には副次的な利点もあります。相手が開封確認をリクエストしていた場合、本文を開かなければ確認の返信を求める画面は現れません。急ぎで判断したくない相手からのメールを、一旦は受け止めた形にしておけます。
とはいえ、開かずに既読にする習慣が定着すると、必要なメールまで見落とすことがあります。差出人や件名で明らかに不要と判断できるものに限って使いましょう。
なお、一覧に表示される件数は設定で変更できます。設定の全般タブにある表示件数の項目で、10件から100件までの中から選べます。既定は50件です。件数を100件に増やしておくと、後述する一括処理の効率が上がります。

数千件の未読をまとめて片づけたいときは、この方法が有効です。検索で未読だけを取り出し、検索結果の全件を一度に選択します。
Gmailの検索欄に is:unread と入力して実行します。これは未読のメールだけを抽出する検索演算子です。既読のものを探したい場合は is:read を使います。
検索結果が表示されたら、一覧左上のチェックボックスをオンにします。すると一覧の上部に「この検索条件に一致するすべてのスレッドを選択」という趣旨のリンクが現れます。これをクリックして初めて、画面に見えていない分まで含めた全件が対象になります。あとは既読にするアイコンをクリックするだけです。
| 手順 | 操作 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 1 | 検索欄に is:unread と入力する | 受信トレイに限定したい場合は in:inbox を組み合わせる |
| 2 | 一覧左上のチェックボックスをオンにする | この時点では表示中の分しか選ばれていない |
| 3 | すべてのスレッドを選択するリンクをクリックする | ここを押さないと全件処理にならない |
| 4 | 上部の既読にするアイコンをクリックする | 件数が多いと処理の完了まで時間がかかる |
検索条件を工夫すれば、対象をさらに絞り込めます。特定の差出人だけを既読にしたいなら from: を、古いものだけを対象にしたいなら older_than: を組み合わせましょう。全件を一度に処理するより、条件を分けたほうがミスを防ぎやすくなります。

手順どおりに操作しても、リンクが表示されないケースがあります。原因は主に三つに絞られます。
まず確認したいのが、検索結果の並び順です。並び替えが関連性の高い順になっていると、このリンクが表示されないことがあります。Gmailが結果を固定の一覧として扱わないためです。並び替えを新しい順へ切り替えると、リンクが現れる場合があります。
次に、そもそも該当する件数が少ない可能性です。表示件数の設定内に収まる件数しかない場合、すべてが画面に出ているため、追加で選択するリンクは表示されません。この状態であれば、左上のチェックボックスだけで全件が対象になっています。
三つ目は見落としやすいポイントです。受信トレイを開いただけの状態と、検索を実行した状態では、選択の挙動が変わります。全件処理をしたい場合は、検索を実行してから操作しましょう。

未読の中身を確認するまでもない、という判断に至ることもあります。その場合は既読にするのではなく、そのまま削除するほうが受信トレイは軽くなります。
手順は既読にする場合とほぼ同じです。検索欄で対象を絞り込み、一覧左上のチェックボックスをオンにし、すべてのスレッドを選択するリンクを押してから、既読にするアイコンではなくゴミ箱のアイコンをクリックします。
ただし削除は取り返しがつきにくい操作です。実行の前に、条件が意図どおりかを目視で確認しましょう。一覧を新しい順と古い順の両方で眺めておくと、条件の書き間違いに気づきやすくなります。
削除したメールはゴミ箱へ移動し、30日が経過すると自動的に完全削除されます。取引や契約に関わるメールが混ざっていないか、保存期間の定めがないかを確認してから実行しましょう。件数が多い場合は、年単位や差出人単位で区切って進めるほうが安全です。
なお、容量を空けることが目的であれば、件数ではなく容量の大きいメールを狙うほうが効率的です。検索欄で larger:10M のようにサイズを指定すると、少ない件数でも効果を得やすくなります。

スマートフォンでも既読にする操作は可能ですが、選択の起点がパソコンと異なるため、把握していないと操作に迷うことがあります。
ポイントは、メールの左側に表示されている送信者のプロフィール画像です。ここをタップすると、そのメールが選択された状態になります。AndroidでもiPhone、iPadでも考え方は同じです。文字部分をタップするとメールが開いてしまうため、画像の位置をタップしましょう。
Androidの場合、プロフィール画像をタップしたうえで「すべて選択」のチェックボックスをオンにし、右上の既読にするアイコンをタップします。iPhoneやiPadでは、プロフィール画像をタップしたあと左上の「すべて選択」にチェックを入れ、右上の既読にするアイコンをタップする流れです。
| 端末 | 選択の起点 | 既読にする操作 |
|---|---|---|
| Android | 送信者のプロフィール画像をタップ | すべて選択にチェックを入れ、右上の既読アイコン |
| iPhone、iPad | 送信者のプロフィール画像をタップ | 左上のすべて選択にチェックを入れ、右上の既読アイコン |
| パソコン | メール左側のチェックボックス | 上部の既読にするアイコン |
個別のメールを既読にしたいだけであれば、この操作で十分です。問題になるのは、件数が数百を超えたときでしょう。次の節でその対処を扱います。

アプリの「すべて選択」で選ばれるのは、そのとき読み込まれている範囲にとどまります。
Googleのヘルプにも、さらにメールを選択する場合は下にスクロールして「すべて選択」をもう一度タップする、という趣旨の説明が記載されています。つまり、下へ読み込ませては選び直すという作業を繰り返すことになります。数千件を相手にする場合は、手間がかかる方法といえます。
一つの方法が、スマートフォンのブラウザでパソコン版の画面を開くことです。iPhoneであればSafariの設定からデスクトップ用Webサイトを表示に切り替え、AndroidであればChromeのメニューでPC版サイトを有効にします。そのうえでGmailを開けば、前述の全件選択リンクが利用できます。
小さな画面でパソコン版の操作を行うと、意図しないボタンを押してしまうことがあります。全件をいきなり対象にせず、検索条件で件数を絞ってから実行しましょう。社内へ案内する場合も、この点を添えておくとよいでしょう。
大量処理はパソコンで行うほうが安全です。外出先で件数だけを減らしたいのであれば、差出人を指定して部分的に処理する程度にとどめておくとよいでしょう。

毎日少しずつ処理するのであれば、スワイプの割り当てを変えておくと手数が減ります。既定ではアーカイブなどが割り当てられていることが多い部分です。
Androidでは、Gmailアプリのメニューから設定へ進み、全般設定の中にあるメールのスワイプ操作で「既読または未読にする」を選びます。iPhoneやiPadでは、設定の中の受信トレイのカスタマイズからメールのスワイプの動作を開き、右にスワイプまたは左にスワイプへ「既読または未読にする」を割り当てます。
この設定を入れておくと、一覧を見ながら操作するだけで処理できます。通勤中の数分でも一定件数を処理できるため、未読が積み上がる速度を抑えられます。溜まる前に少しずつ減らしていくほうが、日々の負担を抑えやすくなります。

誤って既読にしてしまった場合や、対応が必要なメールに目印を残したい場合は、未読へ戻す操作を使います。
パソコンでは、対象のメールにチェックを入れて上部の未読にするアイコンをクリックします。Androidではメールを開いた状態で右上の未読アイコンをタップし、iPhoneやiPadでも同様に未読アイコンをタップします。受信トレイから移動せずに操作したい場合は、送信者のプロフィール画像をタップして選択してから未読にしましょう。
ただし、未読の状態を「対応が必要」という目印として使う運用はおすすめできません。未読は本来、まだ内容を見ていないことを表す状態です。両方の意味を持たせると、分かりにくくなることがあります。対応の要否を管理したい場合は、スターやラベルを使うとよいでしょう。

操作したにもかかわらず未読のままになるケースもあります。原因は数種類に限られるため、上から順に確認すれば短時間で切り分けられます。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 一部の未読だけが残る | 表示中の分しか選択されていない | すべてのスレッドを選択するリンクを押す |
| 件数の表示が変わらない | 処理が完了していない、または画面が古い | 時間をおいて再読み込みする |
| 受信トレイ以外に未読が残る | フィルタで別のラベルへ振り分けられている | 検索範囲を受信トレイに限定せず確認する |
| スマホだけ件数が合わない | アプリの同期が追いついていない | アプリを再起動し、同期の設定を確認する |
| 選択の操作ができない | 文字部分をタップしてメールを開いている | 送信者のプロフィール画像をタップする |
三番目は見落としが多い項目です。受信トレイをすべて既読にしても、フィルタで振り分けられた先に未読が残っていれば、アプリのバッジは減りません。全体を対象にするなら、検索で is:unread だけを条件にして処理しましょう。

関連情報を調べる過程で、開封確認という言葉を目にすることがあります。名称は似ていますが、まったく別の機能です。混同したまま社内に案内すると、認識のずれが生じることがあります。
開封済みにするのは、自分の受信トレイの中でメールの状態を変える操作です。一方の開封確認は、自分が送ったメールを相手が開いたかどうかを知らせてもらう仕組みを指します。前者は受信側の話、後者は送信側の話という違いがあります。
開封確認には利用条件があります。仕事用または学校用のアカウントでのみ使え、個人のGmailアカウントでは利用できません。加えて、管理コンソールで機能を有効にしておく必要があります。有効化して初めて、メール作成画面のオプションに開封確認をリクエストする項目が現れます。
開封確認が返ってきたからといって、相手が内容を読んだとは限りません。動作は受信側のメールソフトに左右され、返信するかどうかを相手が選べる場合もあります。証跡として過度に信頼しないようにしましょう。
相手の反応を把握したいのであれば、開封確認より返信を求める書き方を工夫するほうが実効性は高いといえます。期限と、何を返してほしいのかを本文に明記しましょう。

一括で既読にする作業は、一時的な対応にすぎません。同じ状態に戻らないようにするには、溜まる仕組みそのものを見直すとよいでしょう。
効果が大きいのは、フィルタによる自動処理です。差出人や件名の条件に一致したメールを、受信した時点で自動的に既読にできます。システムからの通知や配信物を対象にしておけば、そもそも未読として数えられません。ラベルを付けて受信トレイをスキップさせる設定と組み合わせると、受信トレイには人からのメールだけが残ります。
あわせて検討したいのが、受信トレイの表示形式です。未読メールを先頭に表示する形式を選ぶと、未読が上部に集まり、処理の順番に迷わなくなります。件数が多い環境ほど、この並び替えは効きます。
三つ目は見落とされがちですが、毎月受け取っているメールが本当に必要かどうかを一度見直してみましょう。受け取らなければ、既読にする手間自体が発生しません。

個人の工夫だけで対応している間は、同様の相談が別の社員からも繰り返し寄せられます。未読が溜まる背景には、個人の対応だけでは解決しにくい要因があることが多いといえます。
現場を観察すると、原因は三つに集約されます。通知メールが業務メールと同じ場所へ届いていること、部署の窓口が個人アドレスになっていること、そして承認や確認の依頼がメールで飛び交っていることです。いずれも個人の対応だけでは解決が難しい構造的な要因です。
とくに三つ目は、未読の質を悪化させます。承認待ちの依頼が未読として積み上がると、対応済みかどうかを本人しか判断できなくなり、催促のメールがさらに増える要因にもなります。
この領域は、メールの外へ出すことで解決しやすくなります。サテライトオフィスのワークフロー for Google Workspaceは、申請と承認の流れをGmailの外側で管理しつつ、Gmail内でのクイックビュー承認にも対応しています。条件分岐や代理承認、決裁書の自動PDF化とGoogleドライブへの保存も備えており、10ユーザーまで無料で試せます。
承認の依頼がメールから減るだけで、受信トレイの状況は変わりやすくなります。詳しくはサテライトオフィスのワークフロー for Google Workspaceの詳細ページからご確認ください。

Gmailを開封済みにする操作そのものは難しくありません。要点は、検索で対象を絞ることと、すべてのスレッドを選択するリンクを押すことの二つです。
そのうえで、大量処理はパソコンで行いましょう。スマートフォンのアプリは読み込まれている範囲しか選べないため、件数が多いほど手間が増えます。どうしても手元で処理したいときは、ブラウザでパソコン版の画面を開く方法があります。
そして、一度片づけたら終わりにせず、溜まらない設定まで手を付けてみましょう。フィルタによる自動処理と、承認業務のメールからの切り離し。この二つを行えば、未読の山を眺める時間を減らしやすくなります。
サテライトオフィスはGoogle Cloudプレミアパートナーとして、Google Workspaceのライセンス販売から導入、運用サポートまでをワンストップで提供しています。導入支援は無料で、導入後も電話とメールでご相談いただけるほか、社員向けの問い合わせ窓口の代行にも対応しています。
Googleツールの運用や、社内に定着する設定の整備でお困りでしたら、サテライトオフィスまでお気軽にご相談ください。
※プライバシーポリシはこちら