第193回


社内研修や業務マニュアルの動画制作を検討している方のなかには、既存の業務ツールとは別にソフトを導入し、操作を覚える時間とライセンス費用をかけなければならないという前提で検討を始める方も多いはずです。
しかしながら、Google Workspaceをすでに導入している企業においては、動画制作に必要な機能はすでにWorkspaceの中に備わっています。
本記事では、Google Vidsの基本機能から料金体系、具体的な使い方、業務での活用事例、導入前に確認すべき制約まで全体像をお伝えします。ぜひお役立てください。

Google Vidsは、Googleが提供するAI搭載の動画制作・編集ツールです。Google Workspaceのアプリケーションとして位置づけられており、GoogleドキュメントやGoogleスライドと同じ感覚でブラウザから利用できます。
Google Vidsは「グーグル ビズ」と読みます。Vidsという名称は英語の「Videos」を短縮した略語に由来するものです。
Google Workspaceのアプリケーション群に含まれているため、利用を始めるにあたって新しいアカウントの登録やソフトウェアのインストールは必要ありません。Googleドライブの画面から直接アクセスでき、作成した動画はドライブに自動保存されます。普段Googleスライドやドキュメントを使い慣れている方であれば、操作感覚はすぐにつかめるでしょう。
Google VidsにはGoogleのAI「Gemini」が組み込まれており、テキストの指示だけで動画の構成案を自動生成する機能を備えています。主なAI機能は以下のとおりです。
動画編集の経験がない方でも、テキストで内容を入力するとAIが構成と素材配置を提案してくれるため、制作の出発点を短時間で確保できます。

Google Vidsの利用可否と使える機能は、契約しているGoogle Workspaceのエディションによって異なります。Google Vids単体で課金されるのではなく、Workspaceのライセンスに含まれる形で提供される点が特徴です。
以下の表に、エディション別のGoogle Vids対応状況をまとめました。
| エディション | Google Vids利用 | AI機能(Gemini) |
|---|---|---|
| Business Starter | ○ | 基本機能のみ |
| Business Standard | ○ | 利用可 |
| Business Plus | ○ | 利用可 |
| Enterprise | ○ | フル機能利用可 |
| 個人向け無料アカウント | ○(基本機能) | 制限付きで利用可 |
Google VidsはWorkspaceの有料プランに含まれているため、Workspaceユーザーであれば動画制作のための追加ソフトウェア費用は発生しません。ただし、GeminiのAI機能をフルに活用するにはBusiness Standard以上のエディション、またはGeminiアドオンの契約が必要になる場合があります。
個人の無料Googleアカウントでも基本的な編集機能やAI動画生成(月10本まで)は利用できますが、組織的な動画活用には有料のWorkspaceプランが適しています。

Google Vidsを業務に導入することで得られる利点は、動画そのもののクオリティよりも「制作プロセスの効率化」と「既存環境との統合」にあると見ています。ここでは4つのメリットを順に整理します。
Google Vidsの「Help me create」機能では、動画の目的と概要をテキストで入力するだけで、AIがシーン構成・テキスト・画像配置を含む初稿を自動で生成します。動画の骨組みを一から考える工程を省けるため、企画から初稿完成までの所要時間を短縮できます。
もちろん、AIが生成した初稿をそのまま使うのではなく、内容や素材を手動で調整して仕上げる前提です。制作の出発点を加速するための機能と捉えましょう。
Googleドライブに保存されているファイルを、Google Vidsの編集画面にそのまま挿入できます。素材をダウンロードして別のソフトに取り込み直す手間がないため、過去に作成した業務資料を動画素材として再活用しやすい構造です。
ドライブから挿入できるファイル形式は以下のとおりです。
とりわけ効果が大きいのが、Googleスライドとの連携です。既存のスライド資料をGoogle Vidsに読み込み、ナレーションとアニメーションを追加するだけでプレゼンテーション動画として再構成できます。
Googleドキュメントやスプレッドシートと同じ仕組みで、複数のメンバーが同時に一つの動画プロジェクトを編集できます。共有リンクの発行だけで閲覧・コメント・編集の権限を割り当てられるため、制作担当者とレビュー担当者のやり取りがGoogle Workspace内で完結するのです。
動画制作を外注する場合は修正依頼のたびにファイルのやり取りが発生しますが、Google Vidsなら同じ画面上で修正箇所を指摘し、その場で反映してもらう運用が可能です。制作のスピードとコミュニケーションの効率が同時に上がるでしょう。
Google Vidsの最大の利点は、普段のGoogle Workspace環境の延長線上で動画制作ができる点です。あらかじめ用意されたテンプレートを選び、テキストと画像を差し替えるだけで一定の品質の動画が仕上がります。
さらに、AIによるナレーション機能を使えば、自分の声を録音しなくてもテキストから音声を自動生成できます。プレゼンテーション動画やマニュアル動画を効率よく作成でき、動画編集ソフトの操作を習得する時間を別の業務に充てられるでしょう。

Google Vidsで動画を作成する手順は、アクセスから共有までの4段階に分かれます。操作はすべてブラウザ上で完結し、専門的な動画編集の知識は必要ありません。
Google Chromeでドライブ(drive.google.com)を開き、「新規」ボタンから「Google Vids」を選択します。vids.google.comに直接アクセスする方法でも同様に開始できます。
作成画面では以下の3つの方法から選びます。
初めてGoogle Vidsを使う場合は、テンプレートから始めると操作の全体像をつかみやすいでしょう。
動画はシーン(スライドのような単位)ごとに構成します。各シーンにテキスト・画像・動画クリップ・図形を挿入し、表示時間やアニメーションを調整します。
Googleドライブから直接ファイルを挿入できるほか、Google Vids内のストック素材ライブラリからも画像や動画を選択できます。素材をあらかじめドライブにまとめておくと、編集作業がスムーズに進むはずです。
シーンの構成が固まったら、ナレーションとBGMを追加します。ナレーションには自分の声をマイクで録音する方法と、AIによるテキスト読み上げを使う方法の2通りがあります。BGMはGoogle Vidsが提供するロイヤリティフリーの音楽ライブラリから選びます。
テロップや字幕の設定もこのステップで行います。音声をオフにして視聴するケースも多いため、字幕の追加はアクセシビリティの面でも有効です。
完成した動画はGoogleドライブの共有機能でリンクを発行し、社内に展開します。MP4ファイルとしてダウンロードする方法や、YouTubeへの直接エクスポートにも対応しています。
視聴権限はドライブの共有設定と同じ仕組みで管理できるため、閲覧者を社内メンバーに限定する場合も追加の設定は不要です。社外への公開範囲を細かく制御したい場合にも柔軟に対応できるでしょう。

Google Vidsの操作そのものはシンプルですが、組織として活用を広げるためには管理者側の事前準備が欠かせません。ここからは、比較記事ではほとんど語られない、Workspace導入支援の現場で見えてきた実務上のポイントをお伝えします。
とりわけ見落とされがちなのが、利用開始前の管理コンソール設定です。管理コンソールでGoogle Vidsを有効にしていなければ、ユーザーのドライブ画面には「Google Vids」の選択肢自体が表示されません。「ツールが見つからない」という問い合わせの多くは、この有効化設定が未完了であることに起因しています。
組織展開をスムーズに進めるために、利用開始前に整備しておきたい項目を以下にまとめました。
まず管理者がコンソールで有効化を済ませ、次に利用対象の範囲と運用ルールを定め、その後に部門ごとの展開に進む流れが合理的です。ブランドガイドラインを先に整備しておけば、各部門が個別に動画を作成しても社内全体で見た目の一貫性を保てます。
Workspace環境全体の設計やアドオンの導入も含めて相談したい場合は、Google Cloudプレミアパートナーであるサテライトオフィスの導入支援を活用することで、自社の規模や体制に合った展開計画を立てやすくなるはずです。
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Google Vidsはさまざまな業務場面で活用できますが、特に効果が見込まれるのは、これまでテキストや静止画で済ませていた情報伝達を動画に置き換えるケースです。代表的な3つの活用事例を紹介します。
新入社員向けのオリエンテーション資料をGoogle Vidsで動画化すると、入社時期が異なるメンバーにも同じ内容を繰り返し提供できます。Googleスライドで作成済みのオリエンテーション資料があれば、Google Vidsに読み込んでナレーションを付けるだけで動画化が完了するため、制作の追加工数を最小限に抑えられるでしょう。
製品紹介やサービス説明をスライド資料から動画に変換することで、メールやチャットで共有した際の伝達力が高まります。Google Vidsのテンプレートを使えばブランドに沿った見た目の動画を短時間で仕上げられるため、案件ごとにカスタマイズした動画を用意するという選択肢も現実的になるはずです。
社内ツールの操作手順をテキストだけで説明すると、スクリーンショットの枚数が増え、手順の更新のたびにメンテナンスの負担がかかります。Google Vidsで画面録画とナレーションを組み合わせた動画マニュアルを作成すれば、操作の流れを直感的に伝えられます。
手順の一部に変更が生じた場合も、該当シーンだけを差し替える運用が可能です。以下の表に、部門別の代表的な活用パターンを整理しました。
| 部門 | 動画の種類 | 主な活用場面 |
|---|---|---|
| 人事・研修 | オリエンテーション動画 | 新入社員の受け入れ・社内ルールの周知 |
| 営業・マーケティング | 提案資料・プロモーション動画 | 商談・メール送付・イベント報告 |
| 情報システム | 操作マニュアル動画 | ツール導入時の操作説明・社内ヘルプ |
いずれの部門でも、既存のGoogleスライドやドキュメントを下地に活用できるため、新たに素材を一から用意する負担を軽減できます。

Google Vidsは手軽に利用を始められる反面、現時点ではいくつかの制約があります。導入後に想定と異なる状況を避けるため、以下の3点を事前に把握しておきましょう。
Google Vidsの編集機能はPCのChromeブラウザに限定されており、スマートフォンやタブレットからの編集には対応していません。作成済みの動画を閲覧・共有する操作はモバイル端末からも可能ですが、シーンの追加や素材の差し替えといった編集作業にはPCが必要です。
外出先での急な修正が想定される業務では、あらかじめ修正対応の手順や担当者を決めておきましょう。モバイル端末からはコメント機能で修正指示を出し、PCのある拠点で編集作業を行う運用が現実的です。
Google Vidsで書き出せる動画の最大解像度はフルHD(1080p)です。社内研修やマニュアル用途であれば十分な画質ですが、大型スクリーンでの上映や4K画質が求められる用途には適していません。
制作目的と配信先を確認した上で、Google Vidsが要件を満たすかどうかを判断しましょう。プロ品質の映像が必要な場面では、別途専門の動画編集ソフトを併用する選択肢も検討に値するはずです。
Google Vidsの操作画面は日本語に対応しており、テンプレートの選択や基本的な編集操作は日本語環境で支障なく行えます。ただし、AIによる自動生成機能(Help me create)の一部は、2026年9月時点で英語を前提とした仕様が残っているのが実情です。なお、AIナレーションやAIアバターは日本語に対応済みです。
日本語のナレーション品質やAI生成テキストの自然さには改善の余地があるため、AI出力後の手動調整を前提に運用計画を組むとよいでしょう。Googleは日本語対応の拡充を段階的に進めており、今後のアップデートで状況が変わる可能性があります。

Google Vidsの導入を検討する際に寄せられることの多い質問をまとめました。
基本的な編集機能は個人の無料Googleアカウントでも利用可能です。Workspaceの有料プランを契約していれば追加のライセンス費用なしで高度なAI機能や大きな利用枠を活用できます。組織的な動画制作には有料のWorkspaceプランが適しています。
アップロードできます。完成した動画をMP4形式でダウンロードしてからアップロードする方法と、Google Vidsから直接YouTubeにエクスポートする方法の2通りがあります。用途に応じて選びましょう。
商用利用は可能です。Google Workspaceの利用規約に準じた範囲であれば、プロモーション動画や顧客向け資料としても活用できます。ストック素材を使用する場合は、各素材のライセンス条件を個別に確認しましょう。
編集はPCのChromeブラウザに限定されています。スマートフォンからは作成済み動画の閲覧や共有リンクの発行は可能ですが、シーンの追加や素材の差し替えといった編集作業はPCで行う必要があります。

Google Vidsは、Google Workspaceを利用している企業にとって、追加費用なしで動画制作を始められるツールです。AI機能による自動生成、Googleドライブとの統合、リアルタイム共同編集といった特長は、いずれもWorkspaceの既存環境を活かす設計になっています。
一方で、ツールの操作方法を覚えるだけでは組織全体への浸透にはつながりにくいのも事実でしょう。管理コンソールでの有効化設定、利用ポリシーの策定、テンプレートの整備といった管理者側の事前準備を進めることで、各部門が自律的に動画を制作・共有できる体制が見えてきます。
Google Vidsの導入を検討する際は、「どう操作するか」よりも「組織にどう展開するか」を先に設計しましょう。
サテライトオフィスは、Google Workspaceプレミアパートナーとして5,000社以上のGoogle Workspace導入支援と8万社以上のアドオンツール導入支援を手がけてきました。自社のGoogle Workspace活用やツール活用でお困りなら、サテライトオフィスにお気軽にご相談ください。
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