第195回


Google Workspaceを利用している企業で、ファイル管理をブラウザ上のGoogleドライブだけで済ませている方が、パソコン版Googleドライブの導入を検討する場面が増えています。「ブラウザで操作が完結しているのに、わざわざデスクトップアプリを入れる意味があるのか」。Web版での業務が定着していると、追加のアプリ導入を見送りたくなるのは自然な判断です。
しかし、Google Workspaceの導入支援を5,000社以上に提供してきたサテライトオフィスの立場から言えるのは、パソコン版Googleドライブの導入効果はインストールそのものではなく、ストリーミングとミラーリングという2つの同期方式をどう選ぶかで決まる、ということです。業務内容に合った方式を選ぶことで、ディスク容量の管理やオフライン作業の効率が改善されるはずです。
本記事では、パソコン版Googleドライブの基本的な仕組みから導入手順、同期方式の違い、運用上の注意点まで、導入支援の現場で得た知見をもとに順を追ってお伝えします。

パソコン版Googleドライブは、Googleが提供するデスクトップ向けの同期アプリケーションです。WindowsやMacにインストールすると、クラウド上のGoogleドライブがエクスプローラーやFinderに仮想ドライブとして表示されます。
以前はGoogleドライブのデスクトップ向けツールとして「バックアップと同期」と「ドライブファイルストリーム」の2つが提供されていましたが、現在はパソコン版Googleドライブに統合されています。個人のGoogleアカウントでもGoogle Workspaceアカウントでも利用でき、ブラウザを開かずにファイルの閲覧や編集が可能です。
ブラウザ版との大きな違いは、ローカルのファイルシステムとクラウドが直接連動する点です。ブラウザ版ではファイルを操作するたびにWebページを経由しますが、パソコン版ではWindowsのエクスプローラーやMacのFinderからそのままファイルを開けます。両者の違いを以下の表で確認しましょう。
| 比較項目 | ブラウザ版Googleドライブ | パソコン版Googleドライブ |
|---|---|---|
| アクセス方法 | Webブラウザからdrive.google.comを開く | エクスプローラーやFinderから直接操作 |
| インストール | 不要 | 必要 |
| ローカルとの同期 | 手動でダウンロードとアップロード | 自動同期(ストリーミングまたはミラーリング) |
| オフライン利用 | 限定的(事前設定が必要) | ミラーリング設定で全ファイルをオフライン利用可能 |
| 対応OS | ブラウザが動作するすべてのOS | Windows、Mac |
このように、パソコン版Googleドライブはブラウザを介さずにクラウドファイルを操作できる点が最大の特徴です。業務で大量のファイルを扱う場合や、Microsoft Officeなどのデスクトップアプリで直接編集したい場合に向いているでしょう。

パソコン版Googleドライブを導入すると、日常のファイル操作がどのように変わるのでしょうか。ここでは、実務で効果の大きい3つのメリットを取り上げます。
パソコン版Googleドライブをインストールすると、クラウド上のマイドライブや共有ドライブがエクスプローラー(Windows)やFinder(Mac)に表示されます。ローカルのフォルダと同じ操作でファイルのコピー、移動、名前変更ができるため、ブラウザで画面を切り替える手間がなくなります。
Microsoft Officeなどのデスクトップアプリからクラウド上のファイルを直接開いて編集できる点も見逃せません。編集後は自動的にクラウドへ反映されるため、都度アップロードする作業が不要になります。
パソコン版Googleドライブの初期設定であるストリーミング方式では、ファイルの実体はクラウド上に置いたまま、必要なときだけローカルにダウンロードして使います。エクスプローラー上にはファイル名やフォルダ構造が表示されますが、データの実体はクラウドに保管されているため、パソコンのディスク容量をほとんど消費しません。
社内でストレージ容量が限られたノートパソコンを支給している場合、この方式はディスク管理の負担を軽減してくれるでしょう。
パソコン版Googleドライブでは、特定のファイルやフォルダを「オフラインで使用可能」に設定しておくことで、インターネットに接続していない環境でも編集を続けられます。接続が復旧した時点で変更内容が自動的にクラウドへ同期されるのです。
外出先や移動中にファイルを編集する業務では、事前にオフライン設定をしておくことで作業の中断を防げるはずです。

パソコン版Googleドライブのインストールは、Googleの公式サイトからインストーラーをダウンロードして実行するだけで完了します。所要時間はネットワーク環境にもよりますが、多くの場合は数分程度です。
具体的な手順は以下のとおりです。
ログインが完了すると、初期設定ではストリーミング方式が有効になっています。ミラーリング方式に変更したい場合は、次のセクションで紹介する設定変更を行いましょう。
Google Workspaceの管理者が管理コンソールで「パソコン版ドライブの使用を許可」をオフにしている場合、ユーザーはインストールしてもログインできません。組織全体に展開する際は、管理者側で利用ポリシーを事前に確認しておきましょう。
なお、Google Workspaceアカウントでログインした場合は、マイドライブに加えて共有ドライブもエクスプローラーやFinder上に表示されます。個人アカウントでは共有ドライブは利用できないため、アカウントの種類によって表示される内容が異なる点を押さえておきましょう。

オンライン会議を始めるにあたりパソコン版Googleドライブには「ストリーミング」と「ミラーリング」という2つの同期方式があります。どちらを選ぶかによって、ディスク容量の使い方やオフライン時の作業範囲が変わります。
とりわけ見落とされがちなのが、この同期方式の選択はインストール後にいつでも変更できるものの、業務の進め方に直接影響するため、導入時に方針を決めておくべきだという点です。比較記事ではほとんど語られない視点ですが、方式を決めずに運用を始めると、後からディスク容量の不足やオフライン対応の不備に気付くケースがあります。
| 比較項目 | ストリーミング | ミラーリング |
|---|---|---|
| ファイルの保存場所 | クラウド上(必要時にローカルへダウンロード) | クラウドとローカルの両方に保存 |
| ディスク容量の消費 | 少ない(メタデータのみ) | 多い(全ファイルのコピーを保持) |
| オフライン利用 | 個別にオフライン設定が必要 | すべてのファイルをオフラインで利用可能 |
| ファイルの初回表示速度 | ダウンロードが発生するため遅くなることがある | ローカルにあるため高速 |
| 適した業務 | 大量のファイルを参照するが編集頻度は低い業務 | オフラインでの編集が多い業務や大容量ファイルを頻繁に扱う業務 |
ストリーミング方式はディスク容量を節約したい場合に適しており、ミラーリング方式はオフライン作業の頻度が高い場合に適しています。たとえば、営業職のようにオフィス外での作業が多い場合はミラーリング方式が向いていますし、デスクワーク中心でファイル数が多い管理部門ではストリーミング方式が効率的でしょう。
設定の切り替えは、タスクバー(Windows)やメニューバー(Mac)のGoogleドライブアイコンから「設定」を開き、「マイドライブの同期オプション」で方式を選択します。切り替え後はファイルの再同期が行われるため、業務時間外に実施するのがよいでしょう。

パソコン版Googleドライブを導入した後に把握しておきたい点がいくつかあります。事前に知っておけば、運用開始後の混乱を避けられるでしょう。
まず、パソコン版Googleドライブをインストールすると、Googleドライブ専用のドライブレター(例:Gドライブ)が割り当てられ、Cドライブとは別の独立したドライブとして表示されます。そのため、従来Cドライブのデスクトップやドキュメントフォルダに保存していたファイルは、Googleドライブの同期対象とは分離されます。以前の「バックアップと同期」で行っていたデスクトップフォルダの自動バックアップとは仕組みが異なる点に留意しましょう。
次に、ストリーミング方式を使用している場合、ファイルを初めて開くときにクラウドからのダウンロードが発生します。動画や設計データなどの大容量ファイルを扱う業務では、初回表示に時間がかかることがあります。頻繁に使うファイルは右クリックから「オフラインで使用可能にする」を設定しておくと、表示速度の問題を回避できるはずです。
これらの点を導入前に確認しておくことで、運用開始後のトラブルを減らせるでしょう。Google Workspace環境でパソコン版Googleドライブを組織全体に展開する場合は、管理コンソールでの利用ポリシー設定や、部署ごとの同期方式の方針策定を事前に進めておくとスムーズです。
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パソコン版Googleドライブについて、導入を検討する際に多く寄せられる疑問を整理します。
使えます。個人のGoogleアカウント(無料版)でもパソコン版Googleドライブをインストールして利用できます。無料アカウントの場合は15GBのストレージ容量がGmail、Googleフォト、Googleドライブで共有されます。Google Workspaceの有料プランであれば、プランに応じた容量が利用可能です。
ストリーミング方式であれば、ファイルの実体はクラウドに保管されるため、Cドライブの容量をほとんど消費しません。ミラーリング方式を選択した場合は、クラウド上の全ファイルがローカルにコピーされるため、その分のディスク容量が必要になります。ディスク容量に余裕がない場合は、ストリーミング方式を選びましょう。
使えます。パソコン版Googleドライブでは最大4つのGoogleアカウントに同時にログインできます。アカウントごとに別のドライブとして表示されるため、個人アカウントと業務アカウントを切り替えずに併用できるのです。ただし、アカウントが増えるほど同期対象が広がるため、ネットワーク帯域への影響を考慮しましょう。

パソコン版Googleドライブは、ブラウザ版では得られないローカルとクラウドの直接同期を実現するツールです。
本記事でお伝えしてきたとおり、パソコン版Googleドライブの導入効果を引き出す鍵は、ストリーミングとミラーリングのどちらを選ぶかという同期方式の判断にあります。ディスク容量を優先するならストリーミング、オフライン作業の安定性を重視するならミラーリングと、業務内容に合わせた方式を選ぶことで日常のファイル操作がスムーズになるでしょう。
導入自体は数分のインストールで済みますが、組織全体で運用する場合は、管理コンソールでのポリシー設定や同期方式の標準化、ドライブレターの取り扱いなど、IT管理者が事前に検討すべき項目があります。
サテライトオフィスは、Google Workspaceプレミアパートナーとして、5,000社以上にGoogle Workspaceの導入支援を提供しています。パソコン版Googleドライブの組織展開を含めたGoogle Workspace環境の構築や運用設計について、具体的な要件に合わせた提案が可能です。同期方式の選定や管理コンソールの設定について整理が必要な場合は、ぜひサテライトオフィスにご相談ください。
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