第207回


GoogleWorkspaceを導入している企業では、多機能メモGoogle Keepの使い方を社内マニュアルに落とし込む場面が出てきます。担当者の多くは「メモ帳アプリと同じ感覚で説明すれば足りるはずだ」という前提で資料を作り始め、共有設定やラベル整理といった業務利用に関わる部分の説明を後回しにしがちです。
本記事では、Google Keepの基本的な使い方から、業務で共有する際の設定手順、情報システム部門が押さえておきたい運用のポイントまで、GoogleWorkspace導入支援の知見を踏まえて順を追ってお伝えします。

Google Keepは、Googleが提供するメモアプリです。GoogleWorkspaceのアカウントでも個人のGoogleアカウントでも利用できます。
Google Keepの特徴は、思いついたことをその場ですぐに書き留められる手軽さにあります。テキストのほか、チェックリスト、手書き、音声、画像といった複数の形式でメモを残せるため、会議中のちょっとした気づきから、買い物リストのような個人的な用途まで幅広く対応します。作成したメモはパソコン、スマートフォン、タブレットの間で自動的に同期されるため、端末を選ばずに続きを確認できます。
| メモの種類 | 主な用途 |
|---|---|
| テキストメモ | 会議メモや思いつきの記録 |
| チェックリスト | タスクや持ち物の管理 |
| 手書きメモ | 図やイラストを交えた記録 |
| 音声メモ | 移動中や作業中の音声入力 |
| 画像メモ | ホワイトボードや書類の保存 |
形式を使い分けることで、記録の速さと後から見返したときの分かりやすさを両立できます。

メモの作成手順はどの端末でもほぼ共通しています。初めて使う場合は、次の流れで試すと迷いません。
Webブラウザからはkeep.google.comにアクセスし、スマートフォンでは専用アプリを起動します。パソコンでChromeを使っている場合は、拡張機能を追加すると閲覧中のWebページからそのままメモを作成できます。
保存のための操作を意識する必要がない点は、Google Keepの使い方の中でも特に迷いが少ない部分です。作成したメモは一覧画面に自動で並び、後から色やラベルで整理できます。

メモの数が増えてくると、作成した情報を後から探し出せるかどうかが使い勝手を左右します。
Google Keepには、メモを整理するための機能がいくつも用意されています。用途に応じて組み合わせることで、増え続けるメモを実用的な状態に保てます。
| 機能 | できること |
|---|---|
| ラベルと色分け | プロジェクトや用途ごとにメモを分類する |
| ピン留め・並び替え | 重要なメモを一覧の上部に固定する |
| アーカイブ | 完了した内容を一覧から隠しつつ保管する |
| 検索 | 本文や画像内の文字からメモを探し出す |
| リマインダー | 日時や場所を指定して通知を受け取る |
| ホーム画面への表示 | スマートフォンのホーム画面にメモを表示する |
とりわけ見落とされがちなのが、画像内の文字も検索対象になる点です。ホワイトボードを撮影したメモを画像のまま放置せず、検索できる状態にしておくと、後から内容を探す手間が大きく減ります。

個人的な用途にとどまらず、チームでの情報共有にGoogle Keepを使う場面も増えています。
メモを共有するには、対象のメモを開き、共同編集者を追加するアイコンからメールアドレスを入力します。GoogleWorkspaceの社内アカウントであれば、同じ組織のメンバーを名前で検索して追加することも可能です。共有したメモはリアルタイムで反映されるため、複数人で同時に編集を進められます。
共有したメモは、既定では追加した相手全員が編集できる状態になります。閲覧のみを許可する権限は用意されていないため、内容を変更されたくないメモを共有する際は注意が必要です。
共有する前に、誰と何を共有するのかをメモ単位で決めておきましょう。意図しない編集や削除を防ぎやすくなります。

操作方法を案内するだけでは、Google Keepの社内展開はうまくいかないことがあります。
GoogleWorkspaceの導入を支援してきた立場から見ると、Google Keepでつまずく企業の多くは、機能の使い方ではなく「何を書いてよいか」の線引きで止まっていると見ています。この視点は、単なる操作解説の記事では見落とされがちです。Google Keepには、Googleドライブのような詳細な権限設定はなく、変更履歴を確認できる機能はあるものの、過去のバージョンを直接復元する仕組みはありません。共有した相手が誰であっても同じ権限を持つ以上、業務上の記録として残すべき情報は、Google Keepではなく管理台帳や承認フローを備えた仕組みに置くという判断が欠かせません。
具体的には、会議の雑多なメモや個人のタスク整理はGoogle Keepに任せ、稟議や申請のように承認の記録を残す必要がある業務は、条件分岐や代理承認に対応した仕組みに切り分けるという線引きが実務的です。ワークフロー for GoogleWorkspaceの詳細はこちらのような、GoogleWorkspaceと連携する承認機能を持つツールと役割を分けることで、Google Keepは本来の手軽さを保ったまま使い続けられます。

便利さから利用範囲が広がりやすい一方で、業務利用ならではの注意点もあります。
一つ目は、共有範囲を管理者側から一括で確認する仕組みがない点です。個人が誰とメモを共有したかは、GoogleWorkspaceの管理コンソールから一覧で把握できません。共有の履歴は利用者本人の記憶とメモ内の共有設定に頼ることになります。
二つ目は、個人アカウントとの混同です。同じ端末で個人のGoogleアカウントと会社のGoogleWorkspaceアカウントを併用していると、どちらのアカウントでメモを作成したのかが分かりにくくなります。業務用の端末では、ログイン中のアカウントをこまめに確認する習慣が必要です。
こうした点を運用ルールとして明文化しておくと、便利さを損なわずに業務利用を続けられます。

GoogleWorkspaceには類似した目的で使えるツールが複数あり、使い分けに迷う場面があります。
Googleドキュメントは、書式を整えた文書を複数人で作成することに向いています。見出しや目次を設定でき、変更履歴も残るため、正式な文書や報告書の作成に適しています。一方でGoogle Keepは書式設定が最小限にとどまり、思いついたことを素早く書き留める用途に向いています。文書として仕上げる前段階のメモ出しには、Google Keepの手軽さが役立つはずです。
GoogleToDoリストは、Gmailやカレンダーと連携してタスクの期限を管理することに特化しています。タスクを完了にすると一覧から消える仕組みのため、進行中の作業を管理しやすい設計です。Google Keepのチェックリスト機能も似た使い方ができますが、期限管理よりも、買い物リストのような繰り返し使うリストの管理に向いています。
| ツール | 向いている用途 |
|---|---|
| Google Keep | 思いつきの記録、共有しながらの簡易メモ |
| Googleドキュメント | 書式を整えた正式な文書の作成 |
| GoogleToDoリスト | 期限つきタスクの進捗管理 |
目的に合わせてツールを使い分けることが、GoogleWorkspace全体を効率よく活用する近道です。

最後に、Google Keepの使い方について寄せられることが多い質問をまとめます。
無料で利用できます。個人のGoogleアカウントでもGoogleWorkspaceのアカウントでも、追加の費用なくメモ機能を使えます。
編集できます。共有したメモは共同編集者全員が内容を変更できる状態になるため、閲覧のみを目的とした共有はできません。
直接の同期はしていません。Google KeepのメモをGoogleドキュメントとして書き出すことはできますが、Googleドライブ上のファイルとメモが自動的に連携する仕組みではありません。
アカウントを切り替えて使い分けます。ブラウザやアプリでログイン中のアカウントを確認し、業務のメモは会社用のGoogleWorkspaceアカウントで作成する運用にすると、情報の混在を防げます。

Google Keepの操作そのものは難しくありません。使い方の質を左右するのは、社内での位置づけです。
GoogleWorkspaceの導入支援を数多く手がけてきたサテライトオフィスとしては、Google Keepを「気軽なメモ」の範囲で使う分にはそのまま導入し、正式な記録が必要な業務は別の仕組みに任せる、という線引きを最初に決めておくことをお勧めします。この線引きさえできていれば、Google Keepの使い方に関する社内からの質問も大きく減ります。
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